2012 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地における植林が地域の水収支に与える影響についての研究
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23405027
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉川 賢 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (50166922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大藪 崇司 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 講師 (70423902)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ケニヤ / アカシア / メリア / 半乾燥地 / 吸水源 / 人工造林適地 / 密度効果 / フェノロジー |
Research Abstract |
アフリカ諸国の中で最も水資源の少ない国であるケニヤでは、水源涵養と木質資源の増産を目的に大規模な植林が始まっている。その主要な造林樹種であるAcacia senegal(アカシア)とMelia volkensii(メリア)の植林後の生育経過と林地の水分状態を測定した。調査地はケニヤ中央部のキツイ県のケニア森林研究所のティバ試験林である。2002年に造成された両樹種の密度試験林で毎木調査と生理特性の測定を行うと共に、植林適地の判定を行った。 メリアとアカシアの密度変化は全く異なる経過をたどった。メリアは高密度区で高い死亡率を示し、アカシアは長く高い生存率を示した。肥大成長は両種とも早い時期から密度効果が認められ、間伐による密度管理が樹幹の肥大成長に大きな影響を与えることが示唆された。 林分密度や樹木サイズが地域の水収支に与える影響を評価するため、土壌水分を測定したところ、両種とも主な吸水深度はかなり深いことが明らかとなった。 3年間のリターフォール量の季節的変化と展葉、落葉の観察より、両樹種とも比較的短期間に展葉を行い、一斉に落葉することが明らかとなった。したがって、蒸散活動を行っている期間は葉量が比較的安定していると予想された。 既存の分布域の気象条件と同じ気象条件の地点を抽出することによって、両種の生育可能な地域を推定した。さらに推定精度を向上させるために、メリアとアカシアの分布と直接関係する情報の収集を進めるとともに、天然林の構造や分布の情報を元にした林分特性の類型化によって、造林樹種の生育適地の判定を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に実施予定の項目のうち蒸散量の推定がまだ不十分である。その他の項目はすべて順調に終了した。さらに、次年度実施予定の植林地適地の判定についても成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初めに提出した研究計画調書に沿って研究を推進する予定であり、現在の推進方法を変更する予定はない。
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