2013 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯アジアにおける択伐林業と森林減少・劣化の関連性
Project/Area Number |
23405029
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
溝上 展也 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00274522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加治佐 剛 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60538247)
吉田 茂二郎 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80128462)
佐藤 宣子 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80253516)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アジア / 伐採 / 林業 / 森林減少・劣化 / 熱帯林 / 画像解析 |
Research Abstract |
「熱帯林での林業活動(択伐)は森林減少・劣化を引き起こす」との論文が最近いくつかみられる。本研究の目的は,このアマゾン等熱帯雨林での見解を熱帯アジア,なかでも,カンボジアとミャンマーを主対象にフィールド調査と衛星画像解析により詳細に検証することにあり,熱帯林での持続可能な林業活動の成立条件を探ることに到達目標がある。 H25年度はカンボジアとミャンマーにおいて、択伐前後に設定してきた固定試験地の再測を進めた。その結果、アクセスのよい場所に位置する試験地では、択伐後の違法伐採の出現が確認された。ミャンマーのバゴ山地南部の択伐地区においては、ルールとして定められている伐採頻度(回帰年30年)に近い頻度で伐採が行われてきた小班とより伐採頻度の高い林班での林分構造を比較した。その結果、伐採頻度の低い小班では、直径分布もL字型で有用樹種も多く存在していたが、伐採頻度の低い小班では立木本数も少なく、直径分布は一山型であった。高伐採頻度区では炭焼窯もみられ、小中径木の著しい減少は炭生産が原因の一つであると考えられた。 また、ミャンマーのバゴ山地南部の択伐経営区内に移住している地域住民にインタビュー調査を実施し、択伐経営区内での森林利用の実態や政府による択伐経営に対する認識や意識について調べた。その結果、調査対象住民の半数は択伐区経営の目的等を認識していたが、一方で現金収入として森林資源を利用しており、約90%は自家消費として日々森林を利用しているとの回答であった。また、択伐経営区内の森林劣化のもっとも大きな原因は炭生産であると回答した住民が7割であり、林分構造調査から推察された原因が再度確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カンボジアとミャンマーの2つの国を対象としたフィールド調査および衛星画像解析は予定通り順調に進んでいる。両国ともに一回の択伐による伐採強度はha当たり数本と低いもので残存木による被害も他で報告されているものより低いことが明らかになり、一回の伐採強度よりも択伐頻度の方が問題であることが分かった。また、択伐頻度の高いところほどその後の違法伐採が高い傾向もあきらかになり、最終到達目標である持続的林業のための成立条件提示にむけた知見が集積しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は最終年度にあたるため、これまでのデータの取りまとめや論文執筆を推進する。同時に、ミャンマーにおいては広域の択伐経営区におけるインベントリデータを入手したところなので、これまでの衛星画像解析に加え、広域におけるフィールド調査データの分析をすすめ、持続可能な択伐林業にむけた改善策の提示を目指す。
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