2012 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル北部森林火災跡再生困難地での「倒木遮蔽更新」仮説の検証と再生促進法の開発
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23405030
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Lake Biwa Museum |
Principal Investigator |
草加 伸吾 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 専門学芸員 (70359264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 卓也 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 部門長 (60280814)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 倒木遮蔽更新仮説 / 直線列 / シベリアカラマツ / 火事跡再生困難 / 再生促進 / 国際情報交換 / モンゴル国 / フブスグル湖 |
Research Abstract |
2012年度は 6月中旬~7月上旬に調査に入り、前年度時間足らずで行うことができなかった、異なる環境下での、自然状態での倒木周囲の実生・稚樹分布調査を、フブスグル湖湖西のハロスや湖南部ハトガル、湖東南部へクツアルで広く行った。湖西部のハロス地域では自然に起きた倒木遮蔽更新例が、草原や明るい森林内で数多くみられ、10m以上に育ったシベリアカラマツの再生木が倒木の影側にだけ10本以上再生している実例のデータを17例ほど取ることができた。これにより倒木遮蔽更新が自然に生じることが検証できると考える。 また、へクツアルの比較的暗い森林内でも、稚樹が影側に多く生えている更新例を少数例見出したが、稚樹は幼木で大きく育つかどうかは、今のところ不明である。ヘクツアル近郊の別の火事跡で、かなり細い(直径10cm以下)倒木4本にも、倒木遮蔽更新と考えられる1~2mの稚樹を十数例発見できた。このように、異なる場所や環境下で、「倒木遮蔽更新仮説」の検証データを採ることができた事は成果であった。 2012年度9月初旬~下旬に湖西部のボルソグにおいて40年前の広大な火事跡で調査を行った。40年経過した焼け跡でも、焼け跡の縁と斜面下部一部以外は未だに全く再生が見られなかった。7月9月の調査とも、各調査地でのデータの回収、土壌浸透水の採取・分析、倒木周囲の実生・稚樹定着実態調査を実施した。 当初、ウランバートル南のボグド山保護区でヘクツアルと同様の実験を試行する予定であったが、都市近郊のため人為圧が強く、実験倒木や機材が持ち去られる危険が分かってきたため、そこでの試行は取りやめとし、より離れた場所での試行を模索中である。 以上の再生阻害要因実験の結果や、自然の倒木遮蔽更新例、実験室での発芽率等のデータから、「倒木遮蔽更新仮説」を生かした森林再生促進のためのマニュアルを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画した現地調査・野外実験は完了し,予定していたデータ採取も十分でき、再生促進ための1次作業マニュアルも作成できたが、「倒木遮蔽更新仮説」に関する論文投稿が遅れている。地元でのシンポジウムは、代替えの利かない博物館業務が重なり、出席できず、またその代わりに予定していた国内でのモンゴルエコフォーラムが残念ながら実施されず、発表できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
まとめ、論文化に必要で欠けているデータ、情報を採るために、6-7月に現地に行く、そのほかは論文化に専念する。 2013年4-9月調査の継続、倒木遮蔽更新仮説に関する論文投稿、作業マニュアルの完成、翻訳。 6-7月、現地でフブスグル湖周辺、ハトガル実験地、へクツアル実験地の実験結果データ取り、継続調査。フブスグル県、ウランバートルでの、作業マニュアルの地元への提言・配布。 7-3月学会発表。再生促進手法に関する論文作成、投稿。会計報告書準備、成果報告書準備。 2014年1-3月会計報告書提出、最終成果報告書提出。
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Research Products
(3 results)