2012 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアにまん延する病原性腸管寄生原虫の遺伝的多型解析
Project/Area Number |
23406006
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
所 正治 金沢大学, 医学系, 講師 (30338024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 尚男 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (50191557)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腸管寄生原虫 / 分子分類 / インドネシア / 人獣共通感染症 / ブラストシスチス / ジアルジア / アメーバ / トリコモナス |
Research Abstract |
(1)インドネシアの学校を拠点とした糞便回収と動物サンプル収集を継続し、ヒト便サンプル161、尿220サンプルを、また動物からはブタ61、齧歯類27、ウシ5、ウマ15、水牛19、鳥類96、ヤギ2の糞便サンプルを収集した。 (2)ヒト糞便サンプルの顕微鏡検査により、回虫64(37.9%)、鞭虫24(14.9)、鉤虫16(9.9)などの蠕虫の陽性率をみた他、ジアルジア34(21.1)、アメーバ類37(23.0)と高率な原虫感染を検出した。 (3)分子解析では2011年度サンプルの解析が終了し、 a. ジアルジアの詳細な陽性率:ヒト145/576(25.2%)、ブタ13/59(22.0)、野鼠11/43(25.6)、イヌ2/2(100)、ウシ2/17(11.8)、トリ2/36(5.6)、ウマ0/9(0)、ヤギ0/9(0)が判明した。 b. 腸管寄生トリコモナスの種分布:ヒト46/200(23.0%, Pentatrichomonas hominis)、ブタ34/53(64.2, P. hominis, Tetratrichomonas sp,Trichomitus batrachorum,Hypotrichomonas sp.)、野鼠16/43(37.2, Hypotrichomonas acosta)、イヌ0/1(0)、ウシ0/14(0)、トリ4/34(11.8)、ウマ3/7(42.9,Tetratrichomonas sp.)、ヤギ0/10(0)が判明した。 c. 分担研究者によるブラストシスチスの遺伝子型分布:ヒト78/200(39.0, Type 1, 2, 3)、ブタ11/53(20.8,Type 1, 4)、野鼠7/43(16.3,Type1, 4)、イヌ1/1(100)、ウシ0/14(0)、トリ1/34(3.0)、ウマ1/7(14.3)、ヤギ0/10(0)が判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)2年目のフィールド調査においても、サンプル収集は予定通り実施され、解析のベースとしての材料が確保された。 (2)遺伝子型等の解析結果が出始め、詳細なデータ解析が可能となり、これらの基礎データにもとづく調査対象の見直しを進めている。 (3)アメーバ類の遺伝子レベルでの解析は未だ完了していないが、手法的な目処がたち、本格解析を既に開始した。 (4)ジアルジア、トリコモナス、ブラストシスチスについては、すでにデータが出始めている。 以上より、本研究の進展はおおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)定期的な調査地域における学校ベースのサンプル採取を継続し、長期にわたる寄生虫蔓延の推移を分子疫学的手法をベースにモニタリングしていく予定。 (2)分子解析手法については、より簡便に、さらに多様な寄生虫を調査可能な方法の確立に努め、分子分類の見直しを含めた網羅的検出方法のさらなる発展をはかる。 (3)GPS、インタビューを用いた基礎データの収集を予備的に進めてきたが、次年度からは分子疫学研究として、統計ベースの解析を本格的に実施する。 (4)寄生虫蔓延に対する介入手法の検討を開始し、次年度より評価可能な形での介入を実施する。
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