2011 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア共通性マダニが媒介する新興アナプラズマ症、紅斑熱群、ライム病の分子疫学
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23406012
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
増澤 俊幸 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (10181645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 伸弘 福井大学, 医学部, シニアフェロー (90003409)
大橋 典男 静岡県立大学, 食品栄養学部, 教授 (10169039)
角坂 照貴 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90109760)
及川 陽三郎 金沢医科大学, 医学部, 助教 (10139785)
夏秋 優 兵庫医科医大学, 医学部, 准教授 (60208072)
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Keywords | アナプラズマ / 紅斑熱 / ライム病 / マダニ / ヒト顆粒球アナプラズマ症 / ボレリア / マダニ媒介性感染症 / リケッチア |
Research Abstract |
マダニ媒介性細菌感染症病原体であるヒト顆粒球アナプラズマAnaplasma phagocytophilum、およびライム病ボレリアBorrelia burgdorferiの東アジアにおける分布の実態を明らかにするため、媒介マダニ並びに保有動物である野鼠の捕獲調査とそれらからの病原体遺伝子検出を行った。イルクーツク、ハバロフスク(ロシア)、杭州、江西省、長白山系(中国)、済州島(韓国)、トカラ列島中之島(日本)で、試料の野外採取調査を行った。これらについてDNA抽出を行いアナプラズマは16SリボソームRNA、並びに主要外被膜遺伝子p44を、ボレリアは5S-23S rRNA Intergenic spacerを標的としたPCRで検出を行った。ハバロフスク由来シュルツェマダニIxodes persulcatusのアナプラズマ、ボレリアの検出率は、それぞれ11.5%、33%であった。p44の遺伝系統解析の結果、一部は岩手、静岡、山梨やイルクーツクに分布するタイプと近縁であることを明らかとし、大陸と日本の間でのアナプラズマの拡散があることを明らかにした。また、済州島の野鼠Apodemus agrarius(セスジアカネズミ)から初めてアナプラズマ遺伝子を検出した。済州島にはアナプラズマの重要な媒介者であるシュルツェマダニは生息しないと推定されるため、これ以外のマダニが媒介者である可能性がある。さらなる媒介者の調査が必要である。それ以外の中国試料、トカラ列島中之島試料からは、目的とする病原体遺伝子は検出されなかった。また、今回イルクーツクの試料のDNA精製度が低く、解析に不適切であった。このため24年度には、再度イルクーツクの調査を行うとともに、調査地域を拡大し、極東ロシア周辺に広げて調査を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イルクーツクで収集したDNAサンプルの精製度が低く、解析に適さなかったこと。中国、韓国の南部地域で収集したマダニ、野鼠試料について、解析を行ったがアナプラズマ陽性例が見つからなかった。遅れている理由である。ハバロフスク試料からは十分な結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
イルクーツクの研究所の設備が予想かなり貧弱であることが判明したので、本年度は十分量のDNA精製キット、培養液などを日本側から提供し、この問題解決を図る。また、中国、韓国については、よりアナプラズマ、ライム病ボレリアが分布する可能性が高いと思われる北部地域での調査に重点をおいて、陽性試料の収集に努める予定である。また、国内でも北海道での調査を行ない、大陸と日本の間での病原体の拡散伝播の可能性を追究する。
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Research Products
(35 results)