2011 Fiscal Year Annual Research Report
「大洋州メラネシア島嶼における乳児のマラリア初感染と感染防御」の研究
Project/Area Number |
23406026
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
谷畑 健生 国立保健医療科学院, 主任研究官 (00283979)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 明 大阪市立大学, 大学院, 教授 (60169563)
神田 秀幸 福島医科大学, 医学部, 講師 (80294370)
|
Keywords | マラリア / 新生児・乳児 / Llitn / 周産期 / 医療供給(エイドポスト) / 栄養 / 抗マラリア剤 / マラリア撲滅 |
Research Abstract |
マラリアの地域特異性は、今後展開される世界のマラリア根絶計画成功への鍵である。大洋州メラネシア島嶼は、マラリア感染・疾病が有する複雑な生物学的プロセスに対して自然の実験場を提供する。われわれは、以下の3点を仮説として提示する:(a)高度の原虫クローン多様性はより重症な病態を引き起こす。(b)高度の孤立と程度の伝播がもたらす原虫抗原の限られた多様性は、防御免疫の迅速な確立に寄与する。(c)三日熱マラリア感染は重症熱帯熱マラリア病態を防御する自然のワクチンとして機能する。これらを検証すべくわれわれは乳児におけるマラリア感染制御に注目し、1年半にわたる妊婦・出生乳児コホート調査をメラネシア島嶼にて提案する。最終的には年齢・原虫特異的薬剤・ワクチン投与を含む排除に向けた地域特異的な根絶戦略を目指す。 今年度の調査では5歳児までの栄養評価とマラリア撲滅についての親の考えを明らかにすることを目的に現地で調査を行った。 その結果男女児231人が調査対象となった。ヴァヌアツにおいて同地では国際比較より7。6%栄養状態が悪く、特に男児のうち7。5%、女児で7。7%栄養状態が悪いことが明らかになった。貧血については男児の2%が貧血で、女児には見られないことが分かった。 児の発熱時の対応について病院15。6%、薬局46。1%、手持ちの薬0%、医師の居ない治療機関(AidPost)46。9%、呪術師6。0%(複数回答)という結果を得た。 来年度はさらに上記テーマに従い、詳しい調査を行い、早期治療の方法、長期耐久殺虫処理布蚊帳(Llitn)使用状況を明らかにする。また、2009年に行った調査ではマラリア免疫抗体反応を検査しており、これを解析し、本研究の一助とする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヴァヌアツ共和国の島嶼で各地住民の健康診断を行い、データ収集をするのが本研究の基礎であるが、天候不順のため、一部地域の検診を諦めざるを得なかった。欠落したデータがあったが、残りのデータ及び共同研究者の金子教授が所持する過去のデータで補える範囲であると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は0-5歳児の栄養調査を徹底して行い、マラリア感染時の栄養状態と非感染時の比較を行う。また、周産期女性の血清から抗マラリア抗体の検出を行う。 また本年度は集落の地理的情報を地図上にデータ集積し、エイドポスト(医師の居ない診療所)から集落の距離を測る。この目的は、エイドポストと集落の距離がマラリア撲滅への取り組みを阻んでいるかどうかを明らかにするものである。もし距離が問題であるのなら、共和国政府の担当部とともに、マラリア撲滅をエイドポストとから遠い地域からロールバックして定められた抗マラリア剤投与の仕方を実行し、Llin蚊帳の使用を行うこととする。
|