2011 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアの男性同性愛者に感染するHPV及びHBVの分子疫学
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23406032
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
三浦 聡之 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員教授 (00296576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川名 敬 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60311627)
柊元 巌 国立感染症研究所, 病原体ゲノム解析センター, 室長 (70291127)
立川 愛 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (10396880)
有吉 紅也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30311400)
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Keywords | 国際情報交換 / 肛門癌 / 男性同性愛者 / パピローマウイルス / 東南アジア / タイ王国 |
Research Abstract |
HIV陽性MSMに合併する重要な悪性腫瘍として、性交感染するヒトパピローマウイルス(HPV)による肛門癌が挙げられる。HPVには100種類以上の異なるジェノタイプが知られており、特定のジェノタイプが子宮頚癌のリスクと強く関連していることが分かっている。しかしながら、アジアのMSMは高い頻度で外国人と性交渉を持つため、同地域の女性とは異なったHPVジェノタイプに感染している可能性が高く、同地域のMSMに対する予防的及び治療的ワクチンとして、最も適切なジェノタイプを同定することが必要とされている。本研究では、タイ国の男性同性愛者(HIV陽性含む)における肛門部HPV陽性率を調査し、そのジェノタイプを決定する。また、肛門細胞診も調査し、異形成と強く関連するHPVジェノタイプの同定を試み、MSMでの予防的・治療的ワクチン候補として適 切ジェノタイプの同定をする。 平成23年度は、タイ国チェンマイ大学に対して、HPVサブタイピングの技術供与を行い、同大学が運営する男性同性愛者コホートで、研究参加のためのスクリーニング受診を実施し、200人のMSMの参加をえた。スクリーニングにおいて、各種demographic informationを収集したが、これには性行動についてのパラメータも含まれた(性交渉の頻度、相手の数、女性との性交渉の経験、性交渉時の役割(肛門性交の受けて側か挿入側か)、オーラルセックスの経験、コンドーム使用頻度、HIV 感染等)。また、肛門細胞診及びHPVサブタイピングのため、研究参加者の肛門部より細胞の採取を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイ王国における洪水の問題など難しい時期もあり、繰り越すことになったが、その後は、現地疫学者の協力のもと、比較的スムーズに進行した。200人の研究参加者がすでに決定し、サンプルの採取が終了したので、平成24及び25年に実験及び解析をすることで、複数の疫学的及び分子疫学的データの論文が作製される見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
200人のタイ人男性同性愛者からの肛門細胞診検査結果の解析、及びHPVサブタイピングを施行する。これらの結果と、性行動学的パラメータ、及びHIV感染の有無との関連について解析し、論文作成をしていく。B型肝炎ウイルス抗原・抗体検査も合わせて施行していく。
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