2011 Fiscal Year Research-status Report
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23500006
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
横尾 英俊 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70134153)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 情報基礎 / 情報理論 / データ圧縮 / ユニバーサル符号 / CSE圧縮 |
Research Abstract |
本研究は,無ひずみデータ圧縮のための記号列の可逆変換法を拡張し,その多次元データへの応用,およびCSE法とよぶユニバーサル・データ圧縮法との融合を目指すものである。本年度は,CSE法の漸近的な性能の検証を行い,実装・実験面においては,改良したCSE法の実データへの適用に向けて,アルゴリズムの具体化に取り組んだ。まず,CSE法にモデル化を組み込んだ場合の圧縮性能の漸近的最良性を証明した。また,CSE法の持つ自明なむだを排除するために,有限長文脈を対象とするBW変換用の復号法をCSEの復号法に拡張し,本復号法を前提とするCSE法が本来のCSE法の真の改良となっていることを明らかにした。さらに,CSE法に組み込むモデルをより洗練し,その情報理論的性質を解析した。その結果,コアと呼ばれる部分列に対する圧縮率が,コアをはさんで両端に位置する記号の条件つき相互情報量によって特徴づけられることを明らかにした。そして,この結果の自然な帰結として,モデル化を伴うCSE法の漸近的最良性を説明した。CSE法の実装には,CST木と呼ぶ新規なデータ構造が利用される。本研究では,CST木とBW変換との関係を明らかにすることで,CST木の線形性を証明した。また,CST木が真に必要となるのは符号化法ではなく,復号法においてであることを明らかにした。これらの成果は,国際会議 (CCP2011, ISIT2011) および国内の研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CSE符号化法の漸近的最良性の証明など,当初目標としたことが,ほぼその通りに達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
CSEデータ圧縮法をBW変換行列の符号化法と見なすことで,アルゴリズムとデータ構造の視点で興味深い問題がいくつか発生する。そのような問題への解決策を探りながら,CSE法のより無駄のない実現について検討を継続する。さらに,プログラムによる実装を進め,実データを使った実証実験を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する研究費として残が出たのは,最後に予定した出張が,本務の都合で当初予定より早めに切り上げる必要が生じたためである。これを次年度の旅費に算入することで,研究成果の発表のための国内出張旅費,および国際会議参加費に充当する計画である。また,計算機プログラムによる実装を進めるため,現有のコンピュータで性能が不足する分の補充として研究費を使用する予定である。
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