2011 Fiscal Year Research-status Report
情報理論的結合可能安全性を有する暗号基礎技術の研究
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23500012
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
四方 順司 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (30345483)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 暗号理論 / 情報理論的安全性 / 結合可能性 |
Research Abstract |
本研究課題における当初の研究実施計画どおり、暗号化方式・鍵共有方式に対して、情報理論的結合可能安全性と従来の情報理論的安全性の差異を理論的に明確にすることに成功した。具体的には、暗号化方式・鍵共有方式に対しては、両者の安全性は同値であるという結果を得た。従って、従来の情報理論的安全性を有する暗号化方式・鍵共有方式の構成法は、情報理論的結合可能安全性をも有するため、他のシステムと自由に結合しても安全であるとの結論を導いたことになる。この研究成果は国内学会で既に発表しており、今後、更に完成度をあげた論文を権威ある国際会議・論文誌等で発表を行う計画である。また、従来の基本的な情報理論的安全性を拡張した暗号基礎技術として、新たに、鍵更新型鍵共有方式、タイムリリース鍵共有方式・暗号化方式・認証方式、アグリゲート認証方式を世界で初めて提案した。今後は、これらの基礎技術に対しても、情報理論的結合可能安全性の有無を調査し、それら研究成果を国際会議・論文誌等で発表を行う計画である。以上の研究成果は、学術的意味における重要性だけに留まらず、多様で複雑な情報システムであふれる社会において、その構成要素となる暗号基礎技術が長期間にわたり時代の計算機技術に依存せず原理的に安全である形で実現されることに貢献する重要な成果であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載したように、暗号基礎技術である暗号化方式・鍵共有方式に対して、情報理論的結合可能安全性と従来の情報理論的安全性の差異を理論的に明確にすることに成功したため、上記のように「おおむね順調に進展している」との自己評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成23年度の理論研究の成果の完成度を更にあげた論文を権威ある国際会議・論文誌等で発表を行う計画である。また、平成24年度は、実装に必要な実験環境(計算機、通信路、ソフトウェア等)を整えて、それまでに出ている理論的研究成果をもとに実装実験をスタートする計画である。この実験結果によっては、実用性を考慮して理論研究にもフィードバックを行う予定である。このように、理論研究と実装実験の結果を互いにフィードバックさせながら、それぞれの完成度をあげていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、論文発表のための外国旅費・国内旅費に加えて、考案した方式を実際にハードウェア実装、並列計算機実験等による実験解析をスタートする計画である。そのため、ベクトル並列計算サーバーを購入し、申請者の研究室にある計算機も利用する。また、並列計算用及び通信路摸擬用のソフトウェアも平成24年度に計上する。以上より、計算機・ソフトウェア購入費、及び国内外への旅費が経費の大部分を占める。
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