2013 Fiscal Year Research-status Report
計算複雑性クラスの階層構造の理論的解明と回路設計システムの新評価法の提案
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23500018
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩本 宙造 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60274495)
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Keywords | 計算の複雑さ |
Research Abstract |
n変数の関数f(x1,x2,...,xn)に対して,素子数がnの3乗の回路を設計したとする.はたして,良い回路が設計できたかどうかは,どのように評価すれば良いだろうか.たとえば,任意に小さい定数ε>0に対して,素子数がnの(3-ε)乗の如何なる回路でも関数fは計算できないといった最適性が,理論的に証明できればいいのだが,その証明は非常に難しいことが知られている.さらに,そのような具体的な関数fが実際に存在するか否かさえも分かっていない.本研究の目的は,計算に必要な時間や記憶領域などの計算資源量に基づく計算複雑性クラス間の包含関係や,クラス間の階層性を明らかにすることである.そして,クラスとクラスの間に存在する真に難しい関数を人工的に作成し,システム評価に役立てる. NP完全問題は,クラスNPに属するが,クラスPには属さないと強く予想されている問題である.2013年度の研究では,どのような問題がクラスPに属するのか,または,NP完全になるのかを探求した.その結果,組合せ問題の一種である一般化ピラミッド問題や,ペンシルパズルの一つが,NP完全であることが証明できた.また,計算幾何学分野において重要なテーマである可視性問題のNP困難性も証明している.直交多角形内の2点が「互いにr可視である」というのは,2点を対頂点とする長方形が多角形内に含まれているときをいう.このようなr可視性の条件下で,最少人数の警備員の配置を見つける問題が,NP困難であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(a) 2012年までに,一様論理回路族とチューリング機械に基づく計算複雑性クラスについて,包含関係の導出が完了している. (b) 2013年度までに,計算複雑性がNP完全やPSPACE完全であるような具体的問題を多数発見することができた.また,多面体や平面,ポリオミノなどを対象として,さまざまな可視性条件の下で,計算幾何問題の複雑さを解明することができた. (c) 以上の研究成果が,これまでに,学術雑誌に計10件,国際会議に計3件採択されている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題において,これまでに証明してきた階層定理は,一様論理回路族とチューリング機械を対象としていた.今後は,他の理論計算機モデルでの階層定理の証明や,異なる条件の下での階層定理の証明を目指す.また,NP完全やPSPACE完全になる新たな問題を見つけ,どのような問題が,どういった計算量クラスに所属するのかを探求する.さらに,計算量クラスを分離する具体的問題を人工的に作成して,自動設計システムの実験的評価に役立てる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度当初は,共著の大学院生一人を帯同する国際会議への外国出張を2件予定していた.しかし,本研究分野の代表的な国際会議の二つが日本国内で開催されることになったため,発表先をそちらに変更することにし,旅費を大幅に節約できた. 繰り越した予算は,2014年度の国際会議(4件を予定)の旅費と,システム評価に必要な3台のコンピュータの購入に充てる.
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Research Products
(4 results)