2012 Fiscal Year Research-status Report
高階ナローイングにもとづくXML文書処理の検証技術
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23500021
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
鈴木 大郎 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (90272179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥居 哲 中部大学, 工学部, 准教授 (00283515)
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Keywords | XML / ナローイング / 正規表現 |
Research Abstract |
今年度行ったことは以下の通りである。 ナローイング計算系の設計を進めたが、これまでに考察していたナローイングではXMLの検証の目的には適当でないことがわかった。これまで対象としていたナローイングでは、XQuery Update Facilityの変換規則を書き換え規則とみなし、XML項を表すヘッジにナローイングを適用することによって、複数の変換系列をひとつのナローイング系列によって表すものであった。XQuery Update Facilityにおける具体的な変換を表すにはこれでよいが、そのアクセス権ポリシーを考える場合にはこの方法ではうまく対応できないことがわかった。アクセス権ポリシーでは、変換後に導入される具体的なXMLの部分構造の代わりに、それらの集合を表す正則木表現を用いる。これを上記のナローイングの枠組みで表すには、変数が正則木表現で型付けされた、外変数((書き換え規則の右辺だけに現れる変数)をもつヘッジ書き換え系を使うことになる。しかし、通常のナローイングでは外変数への非変数項の代入を行うことができないので、我々はそのようなナローイングをいくつか考案し、それらの性質の考察を行った。しかし、アクセス権ポリシーの検証に必要な性質である完全性を満たさないものや、Jacquemardらにより提案されたヘッジ書き換え系における書換えモデルによる検証と同等な能力しかないものしかこれまでのところ得られていない。 2つ目は、XML文書の型を与える正規表現のマッチングの高速化に関する研究である。タグを付加したポジションオートマトンを用いた貪欲マッチングアルゴリズムの決定性有限オートマトンへの適用を試み、アルゴリズムの実装と実験を行った。 3つ目は、月・惑星探査機のためのデータフォーマットとしてのXMLボキャブラリを用いた検索システムの実装である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヘッジに対するナローイングを実際に計算機上で行うために必要となる、正規表現にもとづくマッチングアルゴリズムの単一化アルゴリズムへの拡張が難航したため、ナローイング本体の検証問題への適用を先に進めた。しかし、実績の項で述べたようにそちらも難航しているため、作業がはかどらなくなってしまった。次項で述べるように、ナローイングに関しては、従来我々が検討していた形とは異なる計算を行うもので検討を進めていくようにしているが、現時点では望ましいものが得られるかどうかは不明である。 また、24年度は研究代表者、研究分担者ともに、学内業務が大幅に増加したため、研究を進めるための時間が十分に取れなくなってしまったことが大きく影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
実績の項で述べたように、これまでに考察していたナローイングはXMLの検証の目的にはあまり適していないことがわかった。最近になって、我々は異なる形でナローイングを適用する方法の検討を始めた。実績の項で述べたように、従来我々が考えていたものは、、XQuery Update Facilityの変換規則をそのまま書き換え規則とみなし、XML項を表すヘッジにナローイングを適用することによって、XQuery Update Facilityにおける複数の変換系列をひとつのナローイング系列によって表すものであった。このような考え方では、外変数に関する問題が生じてしまうことがわかったので、外変数が生じない書き換え規則を用いる必要がある。そのため、変換の対象となるXML文書と変換が終わった後に得たいXML文書をそれぞれ表すヘッジの部分ヘッジを変数で置き換えて抽象化したものの対をナローイングの対象として与えることとする。このようにすると、ナローイングに用いる書き換え規則は変換前と変換後のヘッジ(の一部を変数で置き換えて抽象化したもの)の対を左辺にもち、右辺は定数である条件付き書き換え規則になり、外変数がなくなる。また、変換後に得たいXML文書を抽象化したものをはじめに与え、それに対してもナローイングを適用するので、変換対象のヘッジから変換が進む方向へ計算を進めるだけではなく、変換結果からの逆向きの推論もできるようになるという利点があると期待している。次年度は、この方向でXML文書の検証に利用できるようなナローイングの検討を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究のスピードを上げるため、研究代表者と研究分担者の間の研究打ち合わせをさらに密に行いたい。そのため、打ち合わせのための旅費に研究費を使用する。また、我々の研究の参考になる手法を得ることも研究のスピードを上げるためのショートカットに必要なので、そのための文献の購入と調査旅費に研究費を充てる。 それ以外に研究成果発表旅費と会議参加費に研究費を使用する。
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Research Products
(2 results)