2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500026
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
玉木 久夫 明治大学, 理工学部, 教授 (20111354)
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Keywords | グラフアルゴリズム / 有向グラフ / 木分割 / パス分割 / 木幅 / パス幅 |
Research Abstract |
平成24年度における最大の研究成果は、有向パス幅を求めるO(1.89↑n)時間のアルゴリズムである。既知の最良のアルゴリズムは、ほぼ自明なO(2↑n)時間のものである。このアルゴリズムは、SuchanとVillangerによる無向のパス幅のO(1.967↑n)時間アルゴリズムのアイディアをもとにしている。計算時間の改良とともに、無向パス幅のみならず、有向パス幅に対しても適用できるようにした。その改良の核ににあるのが、研究代表者が前年度に開発した有界有向パス幅に対する多項式時間アルゴリズムである。このアルゴリズムは、与えられた有向グラフのパス幅がk以下であるか否かをn↑O(k)時間で判定する、いわゆるXPアルゴリズムである。このO(1.89↑n)時間のアルゴリズムは、無向パス幅に対しても現在最速であり、申請者のXPアルゴリズムが重要な帰結を持っていることを示すひとつの例としても重要である。 一方、XPアルゴリズムそのものについては、アルゴリズムの誤りを発見し、その修正に多大な時間を費やした。前年度に発表した論文では、計算時間がO(mn↑{k + 2})時間(mはグラフの辺の数でnは頂点数)であることを主張したが、修正の結果得られたアルゴリズムの実行時間はO(mn↑{2k})時間である。n↑{k + O(1)}時間を目指したアルゴリズムを設計し、その正しさの証明を現在行っている。 その他に、グラフの分割幅の応用として、2層描画の交差数最小化の問題について新しい固定パラメータアルゴリズムを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無向パス幅と有向パス幅に対する最速のアルゴリズムを得たことは、理論的な成果として満足できる。また、直接有向グラフの分割幅の応用ではないものの、分割幅の応用として2層描画の辺交差数の最小化アルゴリズムで重要な結果を出している。一方、前年度の結果に間違いが見つかったために、その修復に時間を取られており、その分有向グラフの応用への展開が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当面、有向パス幅アルゴリズムの結果の修復、すなわn↑{k + O(1)}時間アルゴリズムの正しさの証明に全力を挙げる。鍵となる補題に対して、証明と反例探しの両面からアプローチしていく。同時に、展開が遅れている有向分割幅の応用についての研究をするめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度までと同様物品には使用せずに、主に研究発表や研究交流のために使用する。国際会議での発表や国際ワークショップへの議論のための参加(研究代表者および研究協力者)、海外からの研究協力者の招聘などが主な使途となる。
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Research Products
(5 results)