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2011 Fiscal Year Research-status Report

並列処理に基づいたOSカーネルの再構成

Research Project

Project/Area Number 23500032
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

追川 修一  筑波大学, システム情報系, 准教授 (00271271)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywordsオペレーティングシステム / 並列処理
Research Abstract

本研究を開始するにあたり,まず特定の言語を前提とせずにOSカーネルの記述を可能にする基盤実行環境を開発した.これまで,型安全であったり並行プログラミング機能が言語レベルで組み込まれていたりする高レベルな言語によりOSカーネルを記述する研究開発は,その高レベル言語で書かれたプログラムを実機上で直接動作させることに多くの労力が費やされてしまっていた.そこで,本研究では,特定の言語を前提とせずにOSカーネルの記述を可能にする基盤実行環境を,既存の汎用OSであるLinux上に構築した.この基盤実行環境上で実行されるOSカーネルは,Linuxのユーザプロセスとして実行される.従って,言語の実行環境を実機上に構築する必要はなくなり,Linux上のプログラムとしてさまざまな言語によるOSカーネルの記述を可能にする.OSカーネルは本来プロセッサを含むハードウェアを制御するためのものであるため,OSカーネルとして機能するにはプロセッサの制御を行う必要がある.そのために,単一システム内ではあるがLinuxカーネルにより制御されないプロセッサを残しておき,そのプロセッサ上で小さな制御プログラムを実行させることで,間接的なプロセッサの制御を実現する.基盤実行環境が機能することを実証するために,基盤実行環境上でC言語により記述された既存のOSカーネルを実行できるようにした.基盤実行環境上で実行されるOSカーネルは,Linux上のプログラムとして実行される.そして,プロセッサの制御はプロセッサ上で実行される制御プログラムを通して間接的に行うように,既存のOSカーネルを変更した.変更したユーザプロセスとして実現されるOSカーネルとプロセッサ制御プログラムの組み合わせで,元となったOSカーネルとの性能比較を行った.その結果,OSカーネルをユーザプロセスとして実現することの優位性を見いだすことができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成23年度に計画した基盤実行環境の開発は順調に進み、ユーザプロセスとして実現されるOSカーネルとプロセッサ制御プログラムの組み合わせで、OS環境を実現できることを示すことができている。開発したOS環境上でベンチマークプログラムを実行し、元となったOSカーネルとの性能比較を行った。その結果から、ユーザプロセスとして実現されるOSカーネルとプロセッサ制御プログラム間の通信コストが十分に小さく、ある程度複雑な処理を行う場合には、ほぼ無視できる程度であることがわかったこと。このことは、開発した基盤実行環境が十分な性能を持つことを示しており、開発した基盤実行環境を用いて、今後の研究を進めることができることから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

OSカーネル並列化に向けて、今後の研究を進めるにあたり、2つの方向性が考えられる。1つはユーザプロセスとして実現されたOSカーネル内の並列性を高める方向であり、もう1つはユーザプロセスとして実現されたOSカーネルから分離されたプロセッサ制御プログラムとの間での並列性を高める方向である。前者の、OSカーネル内の並列性を高める方向は、OSカーネルがユーザプロセスとして実現できるようになったことを活かし、OSカーネル内のホットスポットを発見し、それを並列処理により解消することがまず重要となる。後者のOSカーネルから分離されたプロセッサ制御プログラムとの間での並列性を高める方向は、アプリケーションプログラムから高い応答性が要求される場合に有効であり、また既存のOSとの性能差をなくし実用性を高めるためにも、重要であると考えられる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成23年度に購入を予定していた実験機材である評価ボードの出荷が遅れたため、その費用を平成24年度に繰り越すことになった。平成24年度には入手可能になる予定であるため、開発した基盤環境の有効性を実証する実験を行うために購入する。また、デモのためのノートPCなどの物品を購入する。その作業に必要となる謝金の支払いも行う。さらに、平成24年度には、平成23年度に開発した基盤実行環境についての研究成果を国際会議において発表するための費用も必要となる。国際会議には既に1件は採録が決まり、さらに2件投稿中である。平成24年度に得られた結果についても、随時論文投稿を行い、国際会議において発表を行っていく計画である。そのために、旅費および国際会議参加費に研究費を使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012 2011

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] UV6: an OS Kernel as an Application Program without Virtualization2012

    • Author(s)
      Shuichi Oikawa
    • Organizer
      27th ISCA International Conference on Computers and Their Applications (CATA-2012)
    • Place of Presentation
      Imperial Palace Hotel (Las Vegas, USA)
    • Year and Date
      2012 – 312
  • [Presentation] Utilization of a SIMD unit in the OS Kernel2011

    • Author(s)
      Shogo Saito, Shuichi Oikawa
    • Organizer
      International Workshop on Advances in Networking and Computing, 2nd International Conference on Networking and Computing (IC-NC 2011)
    • Place of Presentation
      Osaka University (Osaka, Japan)
    • Year and Date
      2011-12-01

URL: 

Published: 2013-07-10  

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