2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500033
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
白石 洋一 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80261858)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 組込みシステム / 設計 / モデル / 組込みソフトウェア / 組込みハードウェア |
Research Abstract |
組込みソフトウェア,システム設計の品質向上,設計工数削減,設計期間短縮を実現するための設計支援環境を構築することと,実際の組込みシステムにおける設計手法の調査,および組込みシステム用のアルゴリズムの開発と実証を実施した.特に組込みシステム設計において重要なMBD(Model Based Design)手法が,自動車業界を筆頭とした組込みシステム設計開発業界において,現場レベルでどの程度使用されているかを,論文のみにとどまらず,地元の自動車会社への聞き取り,各種セミナでの参加企業の報告などを通して分析した.その結果,MBD手法の上流設計から下流設計までは当初予想したほどには現場では使用されておらず,特に上流設計が必ずしも十分ではない状況で,プログラム開発を行い,下流の検証工程であるHILS(Hardware In the Loop Simulation)を適用しているケースが多いことがわかった.また,上流設計のMILS(Model In the Loop Simulation)において非常に重要なモデル化も,必ずしも理論に基づいて必要十分な精度で作成されていないことがわかった.そのため,処理の詳細なタイミングを検証するためのISS(Instruction Set Simulator)とMBD手法を組み合わせた組込みシステム設計開発視点環境の前段階であるMBD手法を現場でいかに適用しやすくするよりも,MBD手法自体の使用度を上げるためにどうすればよいかを検討することにした.それに加えて,従来,高性能なパソコン上での実行を想定したアルゴリズムを,実際にリソースが小さい組込みハードウェア上で実装するための検討を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的は,シミュレーションをベースとして,組込みシステムの品質を向上させることと設計工数削減,および設計期間短縮である.特に,MBD(Model Based Design)手法とISS(Instruction Set Simulator)を組み合わせて標準的なMBD手法では困難な処理の詳細なタイミング検証をも可能とすることであった.当初の計画では,本年度にMBD手法が実際に組込みシステムの現場でどの程度浸透し,どの程度開発に使用されているかを調査すること,ISSを開発すること,の2点であった.MBD手法利用について調査を行った結果,MBD手法は自動車業界の一部で利用されている状況にとどまり,他の分野ではMBD手法を利用することを目標としつつ,実際には,例えばプログラミング言語Cを用いて直接プログラム開発を行い,検証の部分でMBD手法の一部であるHILS(Hardware In the Loop Simulation)が採用されていることがわかった.このため,ISSを使用して詳細なタイミングまでを最適化する設計よりも前段階の,MBD手法の他のMILS(Model In the Loop Simulation),RPT(Rapid ProtoTyping),SILS(Software In the Loop Simulation),およびこれらにおいて重要となるモデル化手法を中心に研究を実施した.その結果,特に電気自動車を対象として,従来の開発手法に対するMILSとRPTの有効性の確認,キャパシタ,バッテリの詳細なモデル化の第1段階を達成するとともに,組込みシステム用アルゴリズムの研究成果を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では,平成23年度に得られた成果であるMBD手法とISSの組み合わせによる設計環境を,1.インバータ電源用組込みプログラム設計への応用,2.自動車用ワイパー制御組込み設計への応用,3.電気自動車の制御のための組込みプログラム設計への応用,を検討する予定であった.今後は,平成23年度に得られた成果のMBD手法適用の実情の結果をもとに,上記2の代わりに医用工学分野へのMBD手法の応用として,2.循環器系のモデル化とシミュレーションによる血圧測定手法の提案,を検討することにした.具体的に1.インター多電源用組込みプログラム設計では,電気自動車充電,電気製品充電などで注目されているワイヤレス給電問題において,送受電コイルの位置ずれ,エアギャップ発生時の給電効率最適化を行うために本研究の成果を応用する. 2.循環器系のモデル化とシミュレーションによる血圧測定手法の提案では,自治医科大学のご協力の下で循環器系を等価な電子回路に置換して脈波を解析する問題にMBD手法を応用し,これまでより高精度な血圧測定方法を提案するための方法と組込みシステムの検討を行う.3.電気自動車の制御のための組込みプログラム設計への応用では,バッテリ・キャパシタ管理システム,モータ制御システム,電気自動車統合制御システム,のそれぞれにMBD手法を有効に応用する方法を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成果発表,および技術調査のための旅費として研究費を使用する計画である.平成23年度で,本研究を推進するための装置とMATLAB/Simulinkを整備した.これらを利用することで当初の研究の目標を達成することが可能であると考えられる.
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Research Products
(10 results)