2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500033
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
白石 洋一 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80261858)
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Keywords | 国際研究者交流,中華人民共和国 / 国際研究者交流,ニュージーランド |
Research Abstract |
昨年度の調査結果,研究結果,および今後の推進方策に基づき,今年度はMBD(Model Based Design/Development)手法の有効性と課題を明らかにするために,当初の応用対象に加えて下記に対して応用を行った.1.インバータ電源用組込みプログラム設計への応用,2.循環器系のモデル化とシミュレーションによる血圧測定への応用,3.電気自動車の制御のための組込みプログラム設計への応用である.特に3に関しては,具体的に,バッテリ,キャパシタ,モータ,それぞれのモデル化と電気自動車に搭載した場合のこれらの全体制御方法,およびワイヤレス給電のモデル化とシミュレーションである.さらに,4.MBD手法を樹幹内部の空洞推定問題にも適用し,この問題を逆問題として取り扱うアプローチを検討した.その結果,1に関しては実用上必要な組込みシステムを完成させることができた.その技術を,さらに2のワイヤレス給電の交流電源周波数制御に応用した.2に関しては,心臓,血管,血管抹消系の各器官をそれぞれモデル化して接続し,血流の波形に関して,従来,ハンドコードによって開発したシミュレータと同一のシミュレーション結果を得ることができた.さらにこのシミュレータを応用して循環器系のパラメータを推定する逆問題の解法を提案し,その有効性を見出した.3については,モータとその制御系をモデル化してシミュレータを作成し,JC08走行モードに対して放電と回生発電の振る舞いを求めた.4については,樹幹をモデル化し,シミュレータにより,調和解析を行うことで,樹幹内部の空洞推定問題を逆問題として取り扱うアプローチの可能性を見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の【今後の推進方策】に示した内容に加えて,樹幹内部の空洞推定問題を逆問題として取り扱うアプローチの可能性を見出すことができた.昨年度,本研究申請時のアプローチを軌道修正したが,その後の推進は順調であり,現在までの達成度は90%を超えていると考えている.MBD(Model Based Design/Development)手法の実応用は特に自動車業界では予想以上であり,現在では最近の自動車のエレクトロニクス機器の設計開発に対して必須の手法となっている.その手法をもとに,本研究において電気自動車への基本であるキャパシタ,バッテリ,モータの統合制御を開始することができた.これをもとに,現在,経産省への予算を申請中である.これは次回の科研費申請の研究テーマとしての位置づけと見なすこともできた.報告者が調べた範囲では,自動車業界以外の産業界におけるMBD手法の適用事例を見いだせなかった.前回の報告書の【今後の推進方策】に挙げ,今年度実施したMBD手法の循環器系のモデル化とシミュレーションによる血圧測定への応用については,最近の医理工連携推進と相まって,今後,有望な研究分野であることを示すことができた.この研究においてヒントを得た逆問題とシミュレータの組み合わせによ問題解法は,他の分野への応用として樹幹内部の空洞推定問題への展開を検討することができた.これは申請時の対象には含めていなかった内容であり,新しい展開としての成果とすることができる.一方,MBD手法をシミュレータの開発効率化に応用する研究として,当初の本研究の予定にはなかった脳神経系のシミュレーションに関して,ニュージーランドのWaikato大学のPhDコース学生が2か月間,滞在して,MBD手法を応用してシミュレータの開発を行った.この成果をもとにして,今後,脳の機能解明と脳疾患の研究への展開も検討する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,下記の各テーマに関して研究開発を推進する1.循環器系のモデル化とシミュレーションによる血圧測定への応用,2.電気自動車の制御のための組込みプログラム設計への応用として,バッテリ,キャパシタ,モータ,それぞれのモデル化と電気自動車に搭載した場合のこれらの全体制,3.ワイヤレス給電のモデル化とシミュレーション,4.MBD手法を樹幹内部の空洞推定問題への適用,5.MBD手法を応用した金属柱の損傷推定問題の検討,6.脳神経系シミュレーションによる脳機能解明と脳疾患問題の検討,を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成果発表,および技術調査のための旅費として研究費を使用する計画である.これまでに本研究を推進するための装置とMATLAB/Simulinkを整備した.これらを利用することで当初の研究の目標を達成することが可能であると考えられる.
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Research Products
(8 results)