2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500036
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐伯 元司 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80162254)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 要求工学 / オントロジ / ゴール指向要求分析法 / リポジトリ |
Research Abstract |
本年度は,研究実施計画に従って,以下の項目について研究を行った.1.オントロジの分類と表現方法の開発:セキュリティドメインに焦点をしぼり,Security Target文書や関連文書から抽出できるオントロジを分類し,オントロジ概念間の関連もあわせて分類した.これらを形式的に表現するために,オントロジ概念の分類項目を述語記号とし,格フレーム表現としても使用できる記述法を考案した.また,動作や業務フローが要求の本質となるようなドメインにおいてもオントロジ概念を状態,概念間の関連を状態遷移とみなして同じ記述法で表現する手法を考案した.2.オントロジの収集,構築支援の研究:すでに開発してあるテキストマイニングツールの評価を行い,自然言語文からの格フレーム抽出機能の強化・自動化を進めた.日本語と英語文の両者に対応させるため,日本語はCabocha,英語はStandford Parserを使用し,係り受け解析の後,EDR辞書やFramenetが持っている格構造辞書と照合し,格フレーム表現を出力する統合ツールを開発した.また,ユースケース記述から状態遷移を抽出するツールを開発実装し,その結果を元に動作のオントロジを構築する手法を考案した.3.推論機構の開発実装:オントロジを述語で表現し,ゴール指向要求分析法の結果であるゴールグラフ上でprologを用いて,要求の欠落や対立,ステークホルダの性質の検出といった各種の意味的推論を行うツールの評価を行い,機能拡張を行った.その結果をもとにグラフ変換を用いた推論法や意味的に高品質のグラフへと変換する手法の検討を行った.4.セマンティックリポジトリの機能設計:ゴールグラフ,概念が格フレームで表現されたオントロジ,両者を接続するマッピングのメタモデルを設計し,2層構造のリポジトリの必要な機能の検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフ変換を用いた推論機構の実装など,一部の課題で若干の遅れはあるが,自然言語文からの格フレーム抽出ツールのように当初の目標より進んでいる部分もある.特に,このツールはオントロジマッピングにより要求に意味づけをする部分であり,本研究の中でも非常に重要な核となる成果であり,次年度の研究をスムーズに進める上でも大きな成果である.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり実施する.来年度は以下のように進めていく.1) 格フレーム抽出ツールを用いたオントロジへのマッピング支援技術の研究,および 2) ゴール指向要求分析法とユースケース法(シナリオ分析)への適用はすでに今年度よりとりかかっているが,次年度はより洗練化し統合支援ツールを開発していく.3) オントロジの属性を用いた意思決定法の開発,4) オントロジグラフに基づく品質評価メトリックスの開発,も予定通り行う.5) リポジトリの実装は,今年度の機能設計を再検討してから着手する.特に,リポジトリは,今後の研究計画の中核になるため,再検討と実装は慎重に進めていく.平成25年度も24年度の成果をもとに,当初の計画どおり,リポジトリを含むツールの統合を行い,事例を用いた評価を通して,ツール間の連携機能の評価,拡充を行って,ユーザビリティの向上をはかっていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は,要求文から格フレームを抽出する自動化ツールの開発に謝金を含めて研究費を主に集中させた.そのため,他のツール開発のための謝金や成果の学会発表旅費,論文誌掲載料(その他項目)に次年度使用分が生じた.次年度はこれらを合わせ,年度末に採録になった論文掲載費,国際会議等での成果発表旅費,残りのツールの統合的な開発の費用,この分野の専門家からの情報収集や意見収集の旅費などに引き続き,使用する.
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Research Products
(6 results)