2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500036
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐伯 元司 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80162254)
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Keywords | 要求工学 / オントロジ |
Research Abstract |
本年度は,研究実施計画に従って,以下の項目について研究を行った. 1.格フレーム抽出ツールを用いたオントロジへのマッピング支援技術の研究:前年度に開発した自然言語辞書を活用した格フレーム抽出ツールと,自然言語仕様解析ツールを連携させ,入力された仕様文の格フレーム表現を生成するツールを開発した. 2.ゴール指向要求分析法とシナリオ分析への適用:セキュリティドメインを例にとり,前年度に開発したオントロジ構築技術と組み合わせ,資源を含むゴールのセマンティックタグ付けをもとに意味的な推論を行い,脅威や対策を含むゴールへと誘導する支援ツールとその評価を行った.また,シーケンス図で記述されたシステムの使用シナリオにおいてもシーケンス図にオントロジ概念からなるタグ付けを行い,グラフ変換の手法を用いて脅威シナリオへと変換する手法を開発した. 3.要求の品質評価手法の開発:1で開発したツールを用いて,自然言語仕様を入力とし,完全性,あいまい性,無矛盾性,追跡可能性などの品質特性を解析し,問題のある仕様文を指摘するツールを開発し,このツールを併用することで高品質の仕様書作成支援が行えることを確認した. 4.オントロジによる意味空間の構成技術の開発-ゴール指向分析法の意味軸による多次元化:抽出したオントロジより,意味平面と意味軸を構成し意味空間を構成し,それにより要求工学プロセスの意味づけ技術をゴール指向要求分析法の例を用いて開発した.ゴール指向要求分析法のゴールとゴール分解に意味を与えるために,意味軸を導入し,ゴールをある意味平面におき,意味軸に沿ってゴール分解を行う,多次元ゴールグラフへと拡張し,支援ツールを開発した.これにより意味的に整合したゴール分解が行え,分解の意思決定支援も行えることを確認し,その有用性を評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,前年度の基盤的な成果をもとに有用性を示すための応用的な技術の開発が多かった.格フレーム抽出ツールや格フレームへの変換ツールは本プロジェクトの基盤技術として種々の応用技術に活用できることを示せた.また,意味空間のようにオントロジグラフの考えを発展させた成果も得られた.当初想定した成果よりも進んでいる部分もある半面,ゴール指向とシナリオ分析(ユースケース法)の意味的な融合,品質の数値化(低品質箇所の指摘までは達成)のように若干遅れている部分もある.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり実施する.来年度は若干遅れ気味の1) 品質評価メトリックスの開発,2)ゴール指向分析法とシナリオ分析法の意味的融合の洗練化から取り掛かる.今年度の成果である意味空間・多次元化の成果を取り込むように進める.リポジトリの実装は,今年度の成果で意味空間の技術が得られたため,これまでの機能設計を修正してから行う.当初の計画どおり,リポジトリを含むツールの統合を行い,事例を用いた評価を通して,ツール間の連携機能の評価,拡充を行って,ユーザビリティの向上をはかっていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,今年度同様,要求文を格フレームへ変換するツールの開発と,意味的多次元ゴールグラフ分析支援ツールとその評価実験に謝金を含めて研究費を主に集中させた.そのため,ツールの統合や評価実験のための謝金や成果の学会発表旅費,論文誌掲載料(その他項目)に次年度使用分が生じた.次年度はこれらを合わせ,年度末に採録になった論文掲載費,国際会議等での成果発表旅費,残りのツールの統合的な開発の費用,この分野の専門家からの情報収集や意見収集の旅費などに引き続き,使用する.
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Research Products
(9 results)