2011 Fiscal Year Research-status Report
全ペアテストによる高効率なソフトウェアテストの実現
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23500046
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土屋 達弘 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (30283740)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ソフトウェアテスト / 全ペアテスト / ブラックボックステスト / ホワイトボックステスト |
Research Abstract |
本研究では,全ペアテストに関する研究を発展させることで,不具合発見に関する高い能力と効率を両立させるソフトウェアのテスト手法の実現を目指している.具体的には,(1)全ペアテストのテストケース生成の自動化,および,(2)全ペアテストのホワイトボックステストへの拡張,という二つのサブテーマを並行して進める.初年度の平成23年度では,特に(1)における進展が顕著であった.(1)のテーマであるテストケース生成の自動生成においてこれまで課題とされていた禁則処理に関し,当初の計画にそってSATソルバを利用して禁則処理と良好なテストケース生成を同時に行う手法を提案した.提案手法は二つの段階に分かれている.まず第一段階では,禁則に違反しないテストケースによって実際にテスト可能な機能ペアを列挙する.このとき,各機能ペアがテスト可能かどうかの判定はSAT問題に帰着でき,SATソルバを用いて解く.次に第二段階では,第一段階でもとめたテスト可能な機能ペアすべてを,指定された数のテストケースでテストできるか否かという問題を解く.この問題もSAT問題に帰着でき,指定するテスト数を調整しながら繰り返しこのSAT問題を解くことで,最適もしくは準最適なテストケース集合を自動的に得ることができる.(2)に関しては,プログラムの制御グラフ上の辺をテスト対象として,全ペアテストの概念をホワイトボックステストに対し適用することを予定している.本年度に関しては,関連研究調査と理論的な検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全ペアテストのテストケース生成の自動化((1))については禁則処理を考慮したテストケースの自動生成手法の実現という,当初2年程度で予定していた内容を達成した.一方,全ペアテストのホワイトボックステストへの拡張((2))については,理論的な検討にとどまった.よって,研究全体としては,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
テストケース生成の自動化((1))では計画にそってSATソルバを利用したテストケース自動生成手法を実現した.これは当初の計画では2年目の24年度までに達成予定であった内容である.しかし,生成時間の点で既存のツールに比べ劣っているので,この点についての改善を平成24年度では行う.具体的には,マルチコアを利用した並列化による処理の高速化,および,空間探索に基づく通常のSATソルバの代わりに2分決定グラフとよばれるデータ構造を用いて,禁則処理を行う方法について検討する.全ペアテストのホワイトボックステストへの拡張((2))については,平成23年度の理論的検討をもとに,23年度に予定していた全ペアテストの概念を導入したコードカバレッジの提案を行う.そして,残りの時間で,提案するそのカバレッジを計測するプログラムを作成する.計測の対象とするプログラムをCプログラムに限定することで,24年度の実行を計画していた研究内容を完了する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1回程度の国際会議発表を予定している.そのための費用を概算で1回300千円(渡航費・宿泊費220千円,会議参加費80千円)として申請する.また,上の今後の研究の推進方策で述べたように,初年度に開発した方法は計算速度の点で改善の余地があるので,マルチコアを活用した計算技術の開発を行う.そのため,コア数の多いPCを購入する.この費用として300千円程度を予定している.これに加え,国内での関連会議への出席や研究打ち合わせのための国内旅費として150千万円,作成しているテストケース自動生成ツールのデバッグ,開発補助のための謝金として,160千万円程度を使用する予定である.最後に,PCを用いるために必要な汎用のソフトウェアや論文の別刷代などの消耗品費代として350千万円程度の支出を予定している.
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