2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500047
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡村 寛之 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10311812)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 組み込みOS / オープンソース / ソフトウェア信頼性 / ソフトウェアメトリクス |
Research Abstract |
平成23年度は,主として組み込みOSを特徴付けるメトリクスの分類とメトリクスを利用するソフトウェア信頼性モデルの調査・開発を行った.汎用 OS と組み込み OS における主な違いは,カスタマイズ性,リアルタイム性,ワークメモリ量である.また,一般にはワークメモリ量を抑えるために機能単位でのモジュール化が発達していること,さらにはハードウェアの特性が直接影響することも汎用 OS との差として挙げられる.こういった組み込み OS の特徴を表すメトリクスの洗い出しを行った.具体的には,オープンソース型の組み込み OS である busybox, Android OS などのバグトラッキングシステムからソフトウェア障害(バグ)データを収集を行った.一方,メトリクスを計測するため,ソースリポジトリからソースコードの取得を行った.一般のプログラミングとの比較を行うため,Software-artifact Infrastracture Repository から入手できる European Space Agency のプログラムの入手を行った.また,これらのデータを分析するための設計とテストに関するメトリクスとバグの関係を同時に表現する回帰ベースのモデル開発と統計的手法について調査および再検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成 23 年度における計画は,データ収集およびモデル検討であった.それに対して,対象とするオープンソースプロジェクトおよびそれらのデータ収集,分析モデルに関しては,メトリクス利用が可能であるモデルの選定を行った.モデルの選定については,現存するモデルだけでは,収集したデータ分析を行うことができないため,モデル拡張についての検討も行った.分析するデータが大量に存在するため,パラメータ推定などの統計的な手法に関しても工夫を必要とするが,これについても,従来手法の調査により EM アルゴリズム,ベイズ法などの統計手法が有効に機能することがわかった.これらの成果により,平成 24 年度に計画しているメトリクス分析アルゴリズム開発のための準備が整った.当初予定していた計画に関しては概ね達成できた.しかしながら,SVM (サポートベクターマシン) などで使われるカーネル法の適用可能性についての検討も予定していたが,この部分に関しては達成されておらず,平成 24 年度の計画に組み込む.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は統計分析手法の改善を行う.分類したメトリクスを信頼性モデルに取り入れた際の具体的な統計分析手法についての検討を行う.平成23年度の調査により,静的メトリクス(コード行数など)をポアソン回帰として障害総数を支配するパラメータ値に反映させ,動的メトリクス(投入したテストケース数など)を,ロジスティック回帰として障害検出確率のパラメータ値に反映させることが有効に機能することがわかった.これにより,一般化線形モデルとソフトウェア信頼性モデルを融合したモデルでの分析を行う必要がある.そこで,このモデル構造に対して,パラメータ(回帰係数)を推定するアルゴリズムの検討を行う.平成23年度の調査から,既存研究として存在している EM (Expectation-Maximization) アルゴリズムと階層ベイズの概念を導入したベイズ推定が有望であることがわかったため,これらを適用する手法を考える.また,線形回帰における弱点を克服するために,カーネル法の調査とその適用も検討し,最終的に精度の高い推定を実現するアルゴリズムの構築を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の使用計画としては,主として,情報収集のための旅費に充当する.特にソフトウェア信頼性分野でもっとも権威のある IEEE International Symposium on Software Reliability Engineering (ISSRE) と,環太平洋の信頼性関係の研究者が一堂に会する Asia-Pacific International Symposium on Advanced Reliability and Maintenance Modeling (APARM) へ参加し,その時点までの研究成果報告と関連する確率モデルやデータに関する情報収集を行う.
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