2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500047
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡村 寛之 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10311812)
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Keywords | 組み込み OS / オープンソース / ソフトウェア信頼性 / ソフトウェアメトリクス |
Research Abstract |
平成24年度は,主として統計分析手法の改善を行った.分類したメトリクスを信頼性モデルに取り入れた際の具体的な統計分析手法についての検討を行った.平成23年度の調査により,静的メトリクス(コード行数,プログラム複雑度,クラス数など)をポアソン回帰として障害総数を支配するパラメータ値に反映させ,動的メトリクス(投入したテストケース数,ステートメントカバレッジ,ブランチカバレッジなど)を,ロジスティック回帰として障害検出確率のパラメータ値に反映させることが有効に機能することがわかった.これにより,一般化線形モデルとソフトウェア信頼性モデルを融合したモデルでの分析を行う必要が生じた.そこで,このモデル構造に対して,パラメータ(回帰係数)を推定するアルゴリズムの検討を行った.また,既存研究として存在している EM (Expectation-Maximization) アルゴリズムと階層ベイズの概念を導入したベイズ推定が有望であることがわかったため,これらを適用する手法の構築を行った.具体的には MAP (Maximum A Posterior) 推定量と情報行列による ABIC (Akaike's Bayesian Information Criterion) の近似手法を適用し,効率的にパラメータの推定を行う手法の開発を行った.さらに,線形回帰における弱点を克服するために,カーネル法の適用を検討した.ABIC による手法はカーネル法による手法に対してもある程度有効に機能することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は統計分析手法の改善を行い,ソフトウェアメトリクスを取り扱う手法の幅を広げた.特に,線形回帰の弱点を克服する意味で,ノンパラメトリック回帰を応用した手法を取り入れ,信頼度推定の精度向上に貢献した.具体的には,ポアソン回帰をベースにしたモデルに対して,カーネル(ガウスカーネル,多項式カーネル)を用いた手法を考案し,効率的な推定手法の検討を行った.さらには,ソースコードを扱えるカーネル構造(スペクトラムカーネル)を導入することで,メトリクス抽出のステップを省略した画期的な手法の考案を行った.推定手法では,EM (Expectation-Maximization) アルゴリズムと階層ベイズの融合をはかり,既存手法よりも計算コストにおいて有益なアルゴリズムを開発した.しかしながら,ソースコードと言う膨大なデータ量を扱うモデルとなったため,アルゴリズムのスケーラビリティについてはさらなる改善が必要となることもわかった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は主として,平成24年度に構築した推定手法のブラッシュアップと実用的なツール開発を行う.平成24年度での課題として,推定アルゴリズムのスケーラビリティの改善があげられるため,疑似最尤法などによる近似手法を適用することで,アルゴリズムのスケーラビリティの向上を目指す.また,ソフトウェアの利用状況をマルコフモデルによってモデル化する手法も導入し,包括的なソフトウェア利用およびテストのアクティビティデータからの情報も取り入れることを考える.最終的には,現存するソフトウェア信頼性評価ツールである SRATS (Software Reliability Assessment Tool on Spreadsheet) に対して,開発したモデルを扱える拡張を施すことで,実用的なツールの開発を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費の使用計画としては,主として,情報収集および成果発表のための旅費に充当する.特にソフトウェア信頼性分野でもっとも権威のある IEEE International Symposium on Software Reliability Engineering (ISSRE) へ参加し,その時点までの研究成果報告と関連する確率モデルやデータに関する情報収集を行う.また,マルコフモデルを用いた性能評価に関して多数の発表が行われる IFIP WG 7.3 Performance 2013 に参加し,モデル化に関する情報収集も行う.
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