2011 Fiscal Year Research-status Report
オフショア・ソフトウェア開発支援のためのリスク管理
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23500049
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
辻 洋 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50347506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐賀 亮介 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10509178)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | オフショアソフトウェア開発 / 成熟度モデル / リスク管理 / データマイニング |
Research Abstract |
オフショアソフトウェア開発を支援するため、リスク定量化技術とステップワイズに開発管理能力を向上するための知識管理技術を構築し、社会実験を通して有効性を評価することを目的として研究に着手した。その初年度として、業界に対するインタビューと文献調査を通じて、組織・エンジニア特性(開発管理の成熟度)を中心に、合理的なオフショア・ソフトウェア開発プロセス・モデルを構築した。 構築したモデルは、(1)試行錯誤から戦略的選定へ、(2)目的の指標の設定、(3)出す工程の範囲が適切か自分たちのプロセスは適切かという敵制度、など全部で13の成熟度の軸からなる。各成熟度には、それぞれ4~5の水準があり、発注者が三つ組み(いつの時点で、どの成熟度に関して、どのレベルにあるか)で成長履歴を記録する。 構築したモデルに対して、200社からデータを収集した。収集手段として、Web調査会社を用いた。データのコントロールパラメータとして、(1)委託先の国、(2)ソフトウェア種別などを用いた。「いつの時点で」ということに関しては、2005年から現在、さらには将来の目標として、2013年、2014年以降のレベルを求めた。 知識管理技術として、成長履歴(軌跡)を可視化する手法と標準的な軌跡を発見したり、異常な軌跡を発見するデータマイニングアルゴリズムを考案し実装した。可視化する手法はOLAPの「スラィシング」「ダイシング」という操作を参考にしたものである。N個の成熟度の軸から2個を選択し、そのグラフ上で現在のポジションをノード、成長履歴をアークで記述する点に特徴がある。データマイニングはISMと呼ぶ構造化手法を参考にして構築した。この手法は隣接行列から可到達行列を求めるものであり、成長するうえでの制約(成熟構造と呼ぶ:ある成熟度のあるレベルに達するには、何らかの条件が必要というもの)を発見することもできる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)年度前半において、カーネギメロン大学が提唱した能力成熟度モデル(CMMI)を参考にして、開発属性の定義と能力レベルの定義を行った。基準となる能力レベルの定義については、電子情報技術産業協会JEITAの委員会から出されたソフトウェアリソースの最適活用に関する調査報告書の提言を参考にして規定することができた。この議論には産業界の識者(東芝、日立など)の意見も取り入れた。(2)年度後半には、成熟度を能力レベルとの関係で、成熟度モデル知識ベースに格納する方式を確立した。設計したシステムの構造は本課題の応用領域(オフショアソフトウェア開発)に限定することなく、人材育成やセキュリティ工場などの応用にも適用可能な汎用的な構造を実現できた。知識ベースの基本的な操作にはオンライン解析プログラムOLAPのスライシング、ダイシング、ドリルダウン・ドリルアップなどの考え方を取り入れた。(3)一年を通して、汎用的な構造で、リスクを可視化するプログラムおよびリスクを発見するプログラムを設計、試作、テストし、集めたデータを用いて、予備実験を行った。予備実験の結果、新たないくつかの課題(リスクをより詳細に定量化することやリスク回避のアドバイスの提示方法)などを見出すことができた。この方式を開発するうえで、グラーツ工科大学のアルバート教授の指導を受け知識空間理論を参考にした。また、バッテル研究所が開発した構造化手法ISMのアルゴリズムも参考にした。(4)研究の構想の一部を記した論文を9月にドイツで開催された国際会議で発表した。また、オーストリアで開催されたワークショップで講演した。さらに、実装できるように定式化した論文を9月にマレーシアで開催される国際会議に投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に設計・プロトタイピングしたプログラムの仕様を社会実験できるようにシステム開発を行う。特に、評価を想定した履歴記録機能、フィードバックを取得するためのアンケート機能などについてもあわせて実装する。開発したプログラムは研究室内では評価しきれないので、産業界のエンジニアの協力を得ることを計画する。そのための最低品質を保証するためのテストも行う。次年度に向けての実験計画を研究協力者の意見を求めながらまとめる。 実験計画には次を含める:(1)利用者について:複数の会社のエンジニア、職位に関して上位者および下位者、はじめてオフショアを担当する利用者・経験豊富なオフショア担当者、(2)委託者の所属する会社について:大規模ITベンダ、小規模ソフトハウス、(3)発注先地域について:中国、インド、ベトナム、(4)発注先会社について:規模の大小、受注経験の多寡、日本支社の有無、(5)ブリッジSEについて:その有無、存在する場合その所属 さらに、25年度には、社会実験およびその評価を行う。利用者は30名前後・各人5件を計画する。結果については、ユーザ評価とシステムのログ解析による履歴評価を行う。その内容は以下を計画している。・ユーザ評価について:(1)リスク評価結果についての妥当性評価、(2)システムのユーザビリティ(応答性、習熟の容易さ、致命的エラーの有無など)・ログ解析について:(1)使用頻度、一回あたりの使用時間、使用時間帯など、(2)操作ミス、ボトルネックの抽出
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費(350K¥): 海外の協力研究者者(ジョージア大学のティワナ准教授を予定)を招へい(5月予定)したり、得られた研究成果の途中経過を発表(マレーシアで開催されるPRICAI=9月予定)する人件費・謝金(1,000K¥): リスク管理用ソフトウケアの開発(4月から3月)。社会実験を行える最低限の品質を担保したものを開発する。特に、履歴記録機能、アンケート機能などを充実させることにより評価に耐えるものとする。また、本学以外の研究協力者に対して特別な指導を得た場合に謝金を支払う。その他(250K¥): 学会参加費、論文別刷り料、印刷代など。
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Research Products
(3 results)