2011 Fiscal Year Research-status Report
FPGAの動的部分再構成機能を利用した組合せ問題に対する高速ハードウェア解法
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23500066
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
若林 真一 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (50210860)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | FPGA / 動的部分再構成 / 組合せ最適化 / パターンマッチング |
Research Abstract |
研究代表者らはネットワーク侵入検知のための正規表現マッチングの研究を続けており、多くの研究業績を挙げている。我々が提案しているマッチング手法はシストリックアルゴリズムに基づくものであり、実行時にパターンを設定可能という特長を持つ。提案しているシストリックアルゴリズムはセルと呼ばれるプロセッシングユニットを1次元配列状に接続した回路として実現される。本年度の研究においては、パターンとして設定可能な正規表現のクラスを拡張するため、さまざまな正規表現の拡張演算子に対するマッチングアルゴリズムを開発した。また、クリーネ演算のネスト構造を許した正規表現パターンを効率よく処理するために、シストリックアルゴリズムと非決定有限オートマトンを組み合わせる手法を提案し、実験的に評価した。これらの研究成果はいずれも国内外の学会で発表した。 さらに、研究代表者らが過去に開発した最大クリーク問題に対するインスタンス依存ハードウェア解法を改良し、FPGAのハードウェア資源の制約により入力として与えられる大規模グラフをそのままでは処理できない場合において、グラフを複数の部分グラフに分割することで、FPGAのハードウェア資源の制約を越えて最大クリークを求める手法を開発した。本手法においては、FPGAの動的部分再構成機能を利用してアルゴリズムの実行中に回路を動的に部分再構成する。 また、充足可能性(SAT)問題に対しても、与えられた和積形論理式のサイズが非常に大きく、FPGAのハードウェア資源の制約により、そのままでは問題を解けない場合について、FPGAの動的部分再構成機能を利用してアルゴリズムの実行中に回路を動的に部分再構成することで問題を解く新しいSAT解法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画においては、正規表現マッチング問題、最大クリーク問題、充足可能性問題(SAT問題)について、それぞれFPGAの動的部分再構成機能を利用したハードウェア解法を開発することを目的としていた。年度末までに最大クリーク問題とSAT問題に対しては、プロトタイプとなるアルゴリズムを開発し、実験的評価も行っているので、概ね当初の目的どおり研究は進んでいると考えている。 一方、正規表現マッチング問題に対しては、パターンとして許される正規表現の拡張とそれに対するマッチングアルゴリズムの開発を優先したので、動的部分再構成機能を利用したアルゴリズムの開発については、平成24年度以降に繰り延べになっている。この点では当初の研究計画より遅れているが、一方で、入力パターンとして許される正規表現のクラスの拡張について研究を実施し、拡張パターンに対するマッチングアルゴリズムを開発している。マッチングアルゴリズムの拡張は当初の研究計画には入っていなかったものではあるが、応用上は重要であるので、全体としては概ね研究は順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
正規表現マッチングアルゴリズムについては、平成23年度に開発したアルゴリズムに対して、FPGAの動的部分再構成機能を取り入れたアルゴリズムに拡張する。また、最大クリーク問題とSAT問題に対するハードウェアアルゴリズムについては、昨年度開発したアルゴリズムにおけるFPGAの動的部分再構成機能の利用の仕方をさらに工夫し、さらなる計算時間の短縮とハードウェア資源の削減を実現する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
FPGA実験環境の充実と実験データの整理のために、パーソナルコンピュータ(ノートパソコンを含む)を新たに購入する予定である。また、研究成果の発表のために、国内外の出張旅費を支出する予定である。そのほか、実験データの整理のための謝金を支出する予定である。
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Research Products
(4 results)