2011 Fiscal Year Research-status Report
動的再構成による自律制御システムのための開発プラットフォーム
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23500070
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
泉 知論 立命館大学, 理工学部, 准教授 (30303887)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | リコンフィギャラブルシステム / 動的部分再構成 / 開発プラットフォーム |
Research Abstract |
動的再構成による自律制御システムの開発プラットフォームの構築に向けて、初年度の案件として、主に(1)システム・アーキテクチャの検討とプラットフォーム化設計、(2)動的部分再構成制御回路の設計、(3)知的処理部のための設計技術の検討と導入を進めた。(1)システム・アーキテクチャ検討では、プロセッサと回路モジュール群の接続方法を定め、要素回路の設計を進めた。回路モジュールはプロセッサ・バスに接続するとともに回路モジュール専用の相互接続網に接続する。回路モジュールは動的に再構成されるためその接続網も動的再構成可能でなければならない。ここではトークンリング方式のネットワークを採用し、リングの通信制御と回路とのインターフェースをつかさどる回路モジュールを設計した。回路シミュレーションにより動作を確認した。(2)動的部分再構成制御回路については、再構成のための構成情報を保持する不揮発メモリの制御回路と構成情報を書き込みポートに送信する制御回路、を設計した。さらに、再構成の高速化のため、構成情報を先読みして保持するキャッシュ回路を設計した。再構成可能LSIを搭載した電子基板上で、実動作を確認した。(3)認識に関する知的処理部分の開発のために用いる設計技術を検討し、導入した。ここではゲームの思考ルーチンを対象に、動作記述言語と高位合成システムによる設計を試行した。言語やツールに関するノウハウを獲得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画として、システム・アーキテクチャの検討と要素回路の設計、動的部分再構成制御の実現、動的部分再構成を用いた簡単な画像処理や制御の実現性検証を掲げていた。 システム・アーキテクチャの検討については、おおむね順調にすすめており、モデルを定めて要素回路の設計に入っている。回路モジュール間の相互接続網について、トークンリング方式を採用し、制御とインターフェースをつかさどる回路を設計している。 動的部分再構成制御のための機構の開発では、構成情報格納のための不揮発メモリの制御回路と構成情報書き込み回路を設計し、さらに先読みキャッシュも設計して実機動作も確認し、順調に進んでいる。 動的部分再構成を用いた画像処理や制御の実現性検証については、現時点では非常に単純な回路の動的部分再構成の動作確認に留まっており、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目は、提案アーキテクチャの各部設計の完成度を高め、プロトタイプ実装をさらに進める。また、このプロトタイプの上で、動的部分再構成を用いた画像処理と制御の実現性の検証を行う。プロトタイプとして、初年度に検討したシステム・アーキテクチャの受け皿となり得る動的部分再構成可能デバイスを搭載したロボット・カーを開発する。汎用品の流用を前提とするが、固有の回路や機械について必要最小限の専用部品が必要となる。物理的な設計製作について、できるだけ研究内で作業をすすめる。そのための外注費、謝金を予算計上する。また、簡単な画像処理フィルタや制御方式を対象に動的部分再構成を用いた自律的適応的な認識と制御の実現性の検証を行う。 三年目は、認識アルゴリズム、制御アルゴリズムについて、複数のマッチング処理を用いて"ふるい"にかける AdaBoost 認識アルゴリズムや複数の粒子が個別に確率的に予測を行う Particle Filter 予測制御アルゴリズムなど最近の確率統計的手法の並列ハードウェア化を行う。さらに、動的再構成による適応的なスケーラビリティの実現性を評価する。また、そのようなシステムを効率よく設計するための設計支援ツールやライブラリについても研究開発を進める。高度なアルゴリズムを効率よく実装するための、高位合成ツールの活用が求められるが、既存の高位合成ツールは、動的な再構成に対応していない。対応するための拡張方法を検討する。また、実際にプロトタイプを実現するにあたって設計した、基本部品をライブラリとして体系化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プロトタイプの製作のため、備品・消耗品費として、電子基板、電子部品、機械部品などの部材、電源装置や測定器の購入に150千円を充てる。また、設計のためのソフトウェアライセンス、機器制御・データ収集のための計算機の購入に150千円を見込む。また、研究室内での製作補助のための謝金60千円、外注費100千円を計画する。資料収集および発表のための旅費として、国内学会参加のための出張を4~5回合計200千円程度を見込む。
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