2011 Fiscal Year Research-status Report
メムリスタを含む回路の動作解析とメムリスタの応用に関する研究
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23500072
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
大槻 正伸 福島工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20203846)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メムリスタ |
Research Abstract |
本研究はメムリスタという、電流が流れると抵抗値が変化するという、これまでの電気理論では通常扱われなかった受動素子の応用についての研究である。ただし、メムリスタはナノメートルオーダーの素子であり、また企業秘密の部分もありその製作法の詳細は公表されておらず、実際の素子を扱うことができないため、本研究では理論、およびシミュレーションにより研究を進めている。 1年目のH23年度は、まず研究用のツールとしてパソコン、ソフトウェアの環境を整えた。これにより、MATLABによる回路シミュレーションを行う準備、および既成のシミュレータでは扱えないより細かい回路動作についてはカスタマイズした回路シミュレータを開発する準備が整った。 次に、メムリスタを用いて、通常の2値ランダムアクセスメモリシステムを構築する方法を、メムリスタの周辺デバイスの構造を明らかにしながら提案することができた。 この成果は、福島高専研究紀要に論文「メムリスタを用いた不揮発性メモリシステムの構成」福島高専研究紀要 第52号pp19-24,2011年12月16日(著者:大槻 正伸、一ノ瀬 智浩、西内 拓也)として発表した。さらに、このようにして構築されたシステムが、正しく動作することを検証するために、論理回路レベルで記述し、動作解析を行うシミュレータの開発も行い、実際に検証を行った。その結果、提案したシステムは正しくメモリシステムとして動作することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度は、計画では、計算機(パソコン)の環境を整え、メムリスタを含む回路のシミュレータを構築することをあげてある。 実際にH23年度中に、計算環境を整え、(1)メムリスタのみを、直列、並列に任意に接続した回路、(2)R(抵抗)、L(インダクタンス)、C(コンデンサ)とM(メムリスタ)を任意に接続した回路に対して、回路全体に電圧v(t)を加えた場合の、回路の各部分の電圧、電流を計算する動作シミュレータを作成した。 さらにそれを応用し、メムリスタを用いたシステムの論理回路レベルのシミュレータの構築まで終了した。 したがって、おおむね予定していたとおりのことが実施できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の予定通り(1)メムリスタを用いた新たなアナログ計算機の構築方法の研究、(2)メムリスタを2値でなく、多値メモリ素子として使用した、多値メモリシステムの構築方法の提案、さらに、(3)メムリスタをニューラルネットワークの部品として使用した学習装置の構築方法についての研究を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度で計算機の環境は整ったので、研究費は、当初の予定通り主として消耗品(プリンタインク、コピー用紙等)の購入、成果発表のための学会出張旅費等に使用する。
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