2011 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク上の資源共用における情報の不完全性/非対称性を考慮した需給調整最適化
Project/Area Number |
23500090
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
内田 真人 九州工業大学, ネットワークデザイン研究センター, 准教授 (20419617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 秀明 九州工業大学, ネットワークデザイン研究センター, 准教授 (50532280)
塚本 和也 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (20452823)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 新世代ネットワーク / 資源共用 |
Research Abstract |
課題ア:自身の所有する記憶資源(ストレージ)の未使用領域の一部を共用するというP2Pデータストレージシステムを対象として,ストレージ領域の取引に関する需給関係を表現したユーザ行動モデルについて検討した.この需給関係モデルは,ユーザが所有しているストレージ装置の利用状況や,現実の市場におけるストレージ装置の価格体系などのように,資源取引の際にユーザが把握している情報を考慮したものであり,従来モデルに比べて,ユーザの需要関数,及び供給関数をより現実的なものに改善できた.また,自身の所有する周波数資源(チャネル)の内,プライマリユーザが利用していない,つまりセカンダリユーザが利用可能なチャネルを複数のノード間で共有するというコグニティブ無線ネットワークシステムのための,データ通信用のチャネルを決定する手法について検討した.本研究で扱うモデルでは,各ノードが移動することを想定するため,利用可能なチャネルに関する情報がプライマリユーザの時間的・空間的な利用状況に応じて変化する.提案手法では,これらの変化を考慮してデータチャネルを選択するため,従来のチャネル選択手法に比べて,統計的な利用状況とリアルタイムな利用状況の双方を考慮したチャネル選択を実現できた.課題イ:システム運用上,必ず満たさなければならない制約集合に属し,かつ、システム利用者からの多様な要求を満たす多くの候補解の中で,システム利用者がシステムを利用することで得ることのできる総満足度を最大化できる(一意な)最適解を見つけるための,システム運用者主導型の制御手法を考案した.また,本手法が最適解へ収束することを保証するための条件を理論的に与えた.システム運用者は,この収束条件を満たすように制御手法を容易に実装することができ,その結果,システム運用者は,最適解を見つけることが可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題アについては,個別の利用者がネットワーク上に提供する記憶資源を不特定多数の利用者間で共用するというP2Pデータストレージシステム上の資源取引における情報の不完全性/非対称性を考慮したユーザ行動モデル,ならびに,ネットワーク内のセカンダリユーザが利用可能な周波数資源をユーザ間で共用するというコグニティブ無線ネットワークにおける利用可能なチャネル情報の不完全性/変動性を考慮したチャネル選択手法について検討した.また,課題イについては,システム運用者及び利用者からの多様な要求に対応した複数の目的関数と複数の制約集合からなる最適化問題を解くためのシステム運用者主導型の制御手法について取り組んだ.以上に示す通り,課題ア,イの双方について,当初の予定通り研究が進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究成果を発展させる.課題アについては,平成23年度に検討した需給関係モデルを,特定のシステムに固有の特徴に依存しない汎用モデルへ一般化するための基礎検討を開始する.課題イについては,平成23年度に検討したシステム運用者主導型の制御手法を発展させたシステム利用者主導型の制御手法を実現するための基礎検討を開始する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シミュレーション評価の開始時期を次年度以降とするのが適切な状況となったため,当初予定していた高性能パソコンの購入を延期し,それに伴い,次年度に使用する予定の研究費が生じた.また,当初予定していた研究会への参加が困難な状況となったため,次年度に使用する予定の研究費が生じた.次年度においては,高性能パソコンを購入し,シミュレーション評価を順次本格的に開始すると共に,研究会等での研究成果発表や研究調査をより積極的に行う.
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Research Products
(7 results)