2011 Fiscal Year Research-status Report
不安定な通信環境下で使用可能なセンサノード投げ込み型無線センサネットワークの研究
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23500095
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
宮崎 敏明 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (70404895)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ユビキタスコンピューティング / 無線センサネットワーク |
Research Abstract |
本年度の目標は、センサノードや基地局の増減及び移動(Mobility)にも対応した高速な経路制御とSpatial TDMA (Time Division Multiple Access)を組み合わせ、データ転送効率を損なわず輻輳を回避できるデータ収集法の実現であった。その実現に向け、各センサノードから複数の基地局へ、パケット衝突が起きないように、異なる経路と異なるTDMAのタイムスロットを使用して、各センサノードで取得したデータを転送する問題の定式化を試みた。具体的には、まず、各基地局、各ノード、各タイムスロットの組み合わせに対して0-1変数を割り振った。その変数が"1"の時、対応するセンサノードが対応する基地局に向かって、対応するタイムスロットを用いてデータを送信することを意味する。パケット衝突を回避する条件を本変数同士の関係制約式として与え、値"1"を持つ変数の数が最大となる解を最適解とする0-1整数計画問題として定式化した。本問題を解くことにより、各センサノードから、どのタイムスロットでパケットを送信すれば、パケット衝突を回避しつつ、各基地局へ効率的に取得データを転送できるかが分かる。本定式化では、複数の基地局全てに、同一データを届けるようにしたが、経路の安定状況により、「少なくとも2つの基地局に同一データを転送すれば充分である」などの条件変更も制約式の変更により対応できる。上記に加え、位置が既知の複数の赤外線(IR)センサの反応パタンから、領域内にいる人の数と各人の移動軌跡を自動推定するアルゴリズムを考案し、シミュレーションにより,良好な推定結果が得られることがわかった。本成果は、実機によるテストを行った後、本研究の最終適用先である災害現場監視用無線センサネットワークに組み込む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標である「センサノードや基地局の増減及び移動(Mobility)にも対応した高速な経路制御とSpatial TDMA (Time Division Multiple Access)を組み合わせ、データ転送効率を損なわず輻輳を回避できるデータ収集法の実現」に向けて、当該問題を0-1整数線形計画問題として定式化し、最適経路と最適タイムスロット割り当てを同時に行うことができる手法を考案した。しかしながら、0-1整数線形計画問題はNP-hardであるため大規模なセンサネットワークに対しては適用が困難なことが想定される。また、自律分散プロトコルとして、各センサノードに実装することができない問題も残る。本課題を解決するために、効率的なデータ転送のための自律分散型のヒューリスティックアルゴリズム(プロトコル)が必要となる。一方、IRセンサを使用した人の人数と各人の移動軌跡推定は、当初予定にはなかったが、本研究の最終適用先である災害現場監監視用無線センサネットワークの構築には必要不可欠な技術であり、研究を前倒しで実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、センサノードの位置情報を用いた、効率的データ転送のための自律分散型ヒューリスティックアルゴリズム(プロトコル)を創出する。創出するアルゴリズムの妥当性の検証には、本年度考案した0-1整数線形計画法による手法から得られた解を比較データとして用いる。また、当該アルゴリズムに、センサノードの位置情報をタイムリーに提供するために、既開発の位置推定技術を組み込む。さらに、当初の予定通り、実機を用いた当該アルゴリズムの検証を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、開発するアルゴリズムの実機センサノードによる検証を予定している。計上した予算は、上記センサノードの試作およびデータ収集解析用PCなどシステム構築に向けた機材購入費用に充てる。なお、昨年度は、前述したように方式・アルゴリズムの創出に注力した。そのため、昨年度予定していたセンサノードの試作費用は繰越し、次年度の当初予算と合わせて、当該センサノード試作費用に充てる。
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Research Products
(4 results)