2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500096
|
Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
高原 尚志 新潟県立大学, 国際地域学部, 講師 (90340132)
|
Keywords | VoIP / セキュリティ / SIP / DTLS-SRTP / SRTP |
Research Abstract |
計画では、今年度は、研究結果を論文にまとめ、その成果を広く世間に周知する予定であった。論文誌への投稿には至らなかったが、研究会やシンポジウム、国際会議などへの投稿は行うことができた。 ただし、研究の目標を「送信側または受信側プロキシが正しく動作しない場合にも対応できるシステムの構築」とより大きなものにしたため、実システムを構築し、評価を行い、論文誌に投稿するまでには至らなかった。しかし、積極的にシンポジウムや国際会議、研究会に投稿して、参加者との検討を行った結果、この課題の解決策を見出すことができた。 目標をより大きなものにしたと述べたが、具体的には、前述のようにすることによって、安全なVoIP通信の範囲を、NGNのような信頼できるプロキシの間だけに限定することなく、広くインターネットの世界にまで広げることができるような目標設定とした。これにより、当初の研究目的である、誰でもが安価に安全なVoIP通信を行える方式の提案を行うことができるようになると考えた。 具体的には、まず、シンポジウムや国際会議、研究会などに積極的に投稿し、現在の課題とこれを解決する意義について周知し、参加者との間で活発な検討を行った。このようにすることによって、課題解決の糸口を得ようと努力した。その結果、様々な貴重な意見を得ることができ、これを洗練し、現在の提案方式(信頼できる第三者を設定することによって、送信側及び受信側を含むプロキシが正しく動作しない場合でも、安全に端末間でVoIP通信を行うことができる方式)を見出すことができた。また、この方式とは別に、信頼できる範囲を段階的に設定し、通信全体の信頼性との関係を比較するといった検討も行い、提案方式以外の可能性も検討し、現在の提案方式の有効性をより強固なものとした。 現在は、提案方式に対して、実システムによる評価を行うべく、構築を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
セキュアなVoIP通信を実現するため、当初は、中継プロキシの信頼性については維持されているものとして研究を進めようとしていた。しかし、VoIP通信の範囲をインターネットにまで広げた場合、通信プロキシの信頼性は、必ずしも維持されない。そのため、当初の計画から一歩前に出て、通信プロキシの信頼性が維持されない場合でも端末間の通信の信頼性が維持できるシステムの構築を目指すこととした。そのためシステムの大幅な見直しが必要となった。 しかし、この課題を解決することができれば、安全なVoIP通信をインターネットの世界にまで拡張することができ、研究の目的である、誰でもが安価に信頼性のあるVoIP通信を行うことができるようになる。研究の進度としては、当初の計画よりも遅れるが、より大きな成果を得ることができると信じ、この課題にチャレンジすることにした。 具体的には、まず、この課題の意義をシンポジウムや国際会議などを通じて広く周知し、参加した研究者との間で活発な検討を行い、様々な意見を得ることができた。その結果として、信頼できる第三者を設置し、これを用いることによって、たとえ中継プロキシが正しく動作しなくても、端末間で安全なVoIP通信を実現することができる方式を考案することができた。現在は、この方式を論文にまとめることによって、広く研究者からの意見を得て、この方式を更に抜けのないものにして、実装に向けて議論を詰める段階まで進んでいる。 現在、研究会やシンポジウムへの投稿は行うことができ、理論的には、考案した方式によって、課題の解決(プロキシが正しく動作しない場合も含んだVoIP通信の安全性の維持)の解決にまで至っている。今後は、更にこのシステムを洗礼して、来年度には、実装を完了させ、論文誌への投稿を行い、このシステムを広く周知し、この研究成果を広く世の中に還元したいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度(平成25年度)は、本研究の最終年度であり、まとめの年と位置付けている。このため、昨年度の研究で得た成果を、広く世間に還元する年と考えている。 具体的には、昨年度、理論上解決に至った研究課題(途中のプロキシが正しく動作しなかった場合でも、端末同士の間で安全なVoIP通信を実現するシステムの考案)を実システムで検証することによって、考案したシステムが、運用に耐え得るものであることを証明する予定である。また、今後の活用分野なども広く示して行きたい。そのため、実システムでの評価結果も含めて論文にまとめて、論文誌への投稿を行い、広く周知して、その成果を還元する予定である。 また、実システムによる評価や論文誌への投稿を通じて、このシステムが理論的にも実装的にも正しいものであるということを確認した後は、国際会議などへの発表や国際標準の策定などを通じて、広く世界にこのシステムの有効性を発信して行きたい。そして、日本初の国際標準の実現を目指す予定である。 更には、現在考案中のシステムに加えて、より有効なシステムについても検討を加え、次の段階の第一歩を踏み出したい。このようにすることによって、現在の成果に満足することなく、今回の研究費で得られた成果を礎として、次のステップに踏み出すことができると考えている。 具体的には、現在の解決策、つまり信頼できる第三者を設定し、これを利用して、プロキシが正しく動作しなかった場合でも、端末間で安全なVoIP通信を実現するシステムを提案しているが、信頼できる第三者をどのように設定するか、また第三者が複数ある場合にどのように連携させるかなど、現実に運用するための課題はまだ多く残っている。これを解決することができれば、現在提案しているシステムが広く一般に利用されるようになると考える。このようになることこそ、今回の研究が真に世間に還元されるときと考える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費については、上記でも述べている通り、現在提案しているシステムが問題なく動作することを証明するため、実システムの構築し評価を行うために使用する予定である。また、実システムによる評価で問題なく動作が確認されれば、論文の投稿などを通じて、考案したシステムを広く世間に公開する予定であるが、そのための費用としても使用する予定である。 具体的には、実システムを構築費用に加えて、新たなエンティティを設定しているため、そのエンティティを導入するためのPCの購入するための費用や、実用的な実装評価を行うために、実装評価の際の端末専用PCの購入を考えている。また、実システムの構築を行う際には、より実用的な実システムを構築することを目指して、現在助言を得ている国立情報学研究所の中村素典教授と密に意見を交換する予定である。実システムの評価に関しては、このシステムが世間での利用に耐え得ることを証明するため、暗号鍵の長さなどについても、実用に耐え得るものを用いて評価を行う予定である。 そして実システムの構築・評価が成功した後には、学会の論文誌に積極的に投稿し、本研究の成果を広く周知し、世間に還元するために研究費を使用する予定である。そのためには、少しでも実用的なシステムの構築が必要と考えるので、課題を解決した後も、このシステムを実用化するためにはどのような課題があるかについて、更に検討を重ねていきたいと考えている。このようにすることが、本研究の成果を有効に還元することにつながると考えている。 最終的な目標としては、本研究で提案したシステムが国際標準となり、実際のシステムにおいて、世間で広く利用されることを目指す。そして、このシステムを利用することによって、誰でもが安価に安全なVoIP通信を実現できるようになったとき、本研究の目的が真に達成できると信じる。
|
Research Products
(7 results)