2011 Fiscal Year Research-status Report
空間充填型木構造可視化手法に基づくオイラー図の描画
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23500113
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 貴之 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (80401595)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 可視化 / オイラー図 / ネットワーク |
Research Abstract |
本研究ではオイラー図の描画対象となる入力データを多数の標本点の集合とし、個々の標本点はN種類のカテゴリの各々に該当するか否かを表すフラグを有すると定義する。この前提において本研究では、まず該当するカテゴリの組み合わせが全く同一である標本点を1クラスタに集めて、続いてカテゴリの共有度の高いクラスタが画面上で近くに配置されるように各クラスタの画面上の位置を決定し、最後に各カテゴリを描画する、という処理手順によってオイラー図を描画する。平成23年度は本研究の初年度としてまず、オイラー図描画に必要なソフトウェアを整備した。具体的にはN種類のカテゴリを有する標本データファイルの作成、データの読み込みプログラムの開発、各クラスタの画面配置結果の検証、などに取り組んだ。またカテゴリの描画についても途中まで開発を進めた。カテゴリの描画の方法として以下の2種類を開発中である。1つ目は各カテゴリに該当する全てのクラスタを凸包で囲む描画方法であり、2つ目は各カテゴリに該当するクラスタを線分で連結する描画方法である。各々について途中まで開発が進んだが、まだ完成してはいない。なお今年度の研究過程において、2つ目の「クラスタを線分で連結する」という方法をオイラー図以外の情報描画にも適用できることがわかった。具体的にはノードのクラスタで構成されるネットワークを可視化する際にクラスタ間のエッジを束化して描画する技術である。双方ともに、画面上に描画したクラスタとの交差や重なりを避けながらクラスタ間の連結関係を描画する、という点で技術的要件が一致している。そこで本研究ではオイラー図の描画と並行して、ネットワーク描画のためのエッジ束化にも本手法を適用することで、本研究の成果をさらに拡大することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では平成23年度に本研究の基本手法を実装することになっていたが、これについては90%以上予定通り進行している。唯一、クラスタを凸包で囲む描画方法について現在も開発が続いている。一方で、ネットワーク描画のためのエッジ束化にも同じ手法が使えることがわかり、現在すでにその実験も進んでおり、国際会議にも論文を投稿している。これらを総括すると、当初の計画に対して微細な積み残しはあるものの、本研究の成果をさらに拡大する新しい課題に追加着手したことを含めると100%を超える達成度であるとも考えられる。むしろ現在では、新しく取り組み始めた課題のほうが先に成果を出し始めている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降の推進方策は、概ね当初の計画通りであるが、主に以下について重点的に取り組みたい。1) クラスタ画面配置結果の検証と改善。具体的には、クラスタ間のエッジにバネを想定した力学モデルのかわりに、次元削減に基づく画面上の座標値算出手法を検討したい。2) カテゴリ描画アルゴリズムの再検討。3) オイラー図の描画とは別に、ネットワーク描画のためのエッジ束化についても、さらに開発を進めて他手法に対する差別化を図りたい。4) 例題の追加。具体的には、大量の写真からの顔認識結果を参照して得られる人間関係データの可視化に取り組みたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は当初の予定よりも大幅に研究費の執行額が小さくなった。この理由は、クラスタ配置およびカテゴリ描画の研究にかかわる学生が半年間の海外派遣に行くことになった関係で、備品の購入を延期したため、および学会発表を平成24年度に繰り越したことで旅費の形状が小さくなったためである。これを受けて平成24年度は、購入を延期していたワークステーションおよびノートPCの購入、また延期してきた学会発表に取り組みたい。なお本研究では、オイラー図だけでなくエッジ束化の問題にも取り組むことで、当初の計画よりもさらに大きく発展することになったため、その課題に対してもワークステーションやノートPCを購入すると友、成果を学会発表するための旅費を計上する。また本研究では平成24年度以降、基本手法を開発するだけでなく、成果の検証、例題の追加などの作業が増えるため、その作業員への謝金を平成23年度よりも多く計上する。
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Research Products
(3 results)