2012 Fiscal Year Research-status Report
空間充填型木構造可視化手法に基づくオイラー図の描画
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23500113
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 貴之 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (80401595)
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Keywords | 該当なし |
Research Abstract |
オイラー図の可視化のうち主要な課題として、オイラー図を構成する各データ要素の配置と描画があげられた。平成23年度には主にデータ要素の配置について検討してきたが、平成24年度には主にデータ要素の描画について検討した。平成23年度の検討において、同一カテゴリに含まれるノード集合を凸包で囲む表現や折れ線で結ぶ表現を試したが、いずれも一長一短の関係にあることを議論した。平成24年度はこれらの議論を総合した結果として、近隣するノード群を凸包で囲み、さらに凸包群を折れ線で連結する、という表現手法を提案した。 ところで、オイラー図の描画手法に関する関連研究発表は、本申請を提出した平成22年から急激に増えている。そこで平成24年度は、これらの関連研究による描画結果と提案手法を比較し、被験者実験による主観評価によって比較結果を示した。以上の結果を査読付きの国内研究会に投稿したところ、高い点数で採録され、論文誌への投稿を推薦された。 以上の研究から派生して本研究では、オイラー図だけでなく階層型ネットワークへの可視化にも取り組んだ。具体的には、凸包を連結する折れ線の生成アルゴリズムを、ネットワークを構成する各階層間のエッジ群の束化表現に応用した。これを用いた遺伝子ネットワークの可視化結果を国際会議に投稿して採録され、106件中3件だけのPlenary Sessionでの登壇発表に選ばれた。この遺伝子ネットワーク可視化結果は生命情報学の専門家からも一定の評価を得ており、この評価を踏まえた論文を論文誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあったオイラー図の可視化については、手法の基本的な課題である配置と描画の問題を概ね解決し、さらに被験者実験も実施した、という点では順調に進んでいる。 ただし、実世界で扱われている非常に複雑なデータを可視化した実績はまだなく、平成25年度にはより大規模なデータの可視化に取り組む必要があると考えている。 一方で本申請の研究から派生して「階層型ネットワーク可視化のための束化表現」という研究が生まれたことは計画以上の成果であり、その観点からは本申請は計画以上の成果を生んでいるとも言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成25年度は、本研究のまとめとして、オイラー図の可視化に関する実世界でのデータを使った事例をつくりたい。また以上の成果を踏まえて、投稿推薦を受けている論文誌での採録を目指したい。 また本申請内容から派生した階層型ネットワークの束化表現についても、遺伝子ネットワークに関する適用結果を論文誌に投稿するとともに、遺伝子ネットワーク以外のデータについても適用することでさらに有効性を検証したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度である平成25年度は、本申請にかかる研究成果の積極的な発表に努めたい。そのための旅費・学会参加費・論文投稿費に重点的に研究費を使用する。 また可視化のためのデータ作りにおいて大きな人手を要するので、そのための謝金に研究費を使用する。さらに可視化結果の検証のために被験者実験等を実施するので、そのための謝金や消耗品(特に計算機周辺機器、プリンタトナー、メモリ等)の購入に研究費を使用する。
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Research Products
(5 results)