2011 Fiscal Year Research-status Report
脳機能計測と生体計測の情報統合による多視点裸眼3DTVのユーザ体感品質測定
Project/Area Number |
23500115
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
堀田 裕弘 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (80209303)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | マルチメディア / 脳機能計測 / 生体情報 / 画質評価 / NIRS / 脳波 / 表情筋筋電図 |
Research Abstract |
初年度は、符号化劣化を伴う静止画像を主な対象として、脳機能計測(NIRS、脳波)と生体計測(表情筋筋電、サーモグラフィ、視線カメラなど)の同時計測実験を実施した。併せて、数値や評価語による官能評価も同時に行った。この主観評価実験により得られた各種計測データによる客観的画質評価の可能性と有用性を精査するために、各種計測データに適合したデータ処理方法を検討した。脳機能計測としてNIRSと脳波を用い、刺激素材としては人間の視覚の空間周波数特性を測定する場合に用いる縞模様の画像、また、感情誘発(快適、嫌悪など)が生じるとされる静止画像を用いた。画像の空間周波数がNIRSでの前頭葉脳血流に与える影響、脳波に与える影響について調査した。計測した脳波からα波発生量を信号処理により求め、人間の視覚の空間周波数特性との比較を行った。その結果、視覚の空間周波数特性とα波反応が正の相関を示す被験者と負の相関を示す被験者が存在した。高感度の空間周波数の縞模様刺激が、見えすぎて不快を感じる被験者は負の相関を示していた。NIRSを用いた実験では、嫌悪感を誘発する感情誘発画像と風景画像を用いて脳血流の反応を調査した。その結果、被験者ごとに反応が異なることが示された。また、NIRSを用いた実験結果の安定性を確保するために、同一刺激の繰り返し提示を行って、その反応の変化を調査した結果、4回程度の繰り返し提示のデータを平均化することで安定した実験結果が得られることを確認した。次に、他の生体計測として表情筋筋電についての検討を行った。符号化劣化が大きい劣化画像と原画像を提示し、積分筋電図(IEMG)を用いて表情筋筋電図の解析を行った。その結果、被験者が低品質画像を評価している間、皺眉筋や眼輪筋、前頭筋などに大きな筋活動がみられた。よって、主観評価値と表情筋筋電図の割合には高い相関性あった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題「脳機能計測と生体計測の情報統合による多視点裸眼3DTVのユーザ体感品質測定」を遂行するために設定した研究目的のうち、脳機能計測(NIRS、脳波も可)と生体計測(表情筋筋電、サーモグラフィ、視線カメラなど)により得られた各種計測データによる客観的画質評価の可能性と有用性を精査するために、各種計測データのデータ処理方法を検討することが、着実に行われている。符号化劣化を伴う静止画像を対象として、脳機能計測(NIRS、脳波)と生体計測(表情筋筋電、サーモグラフィ、視線カメラなど)を同時に行っており、主観評価実験は順調に行われている。また、数値や評価語による官能評価も同時に実施している。これらの得られた計測データの信頼性と安定性に関する検討も着実に行っていることより、本年度以降の実験がスムーズに行えるような準備が行えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2眼式メガネあり3DTV を対象とした主観評価実験の実施(脳機能計測と生体計測、官能評価)を行う。静止画像を対象とした研究成果を利用して、2眼式メガネあり3DTVを対象として研究を行う。2眼式の3D コンテンツを自前で作成するために3D ビデオカメラで種々な撮影条件下の映像コンテンツ(10~20 秒程度)を10種類程度作成する。これらをMPEG-2, H.264で符号化し、主観評価実験用の素材とする。23年度の実施計画と同様に、符号化劣化を伴った2眼式3DTVを3Dメガネの装着により視聴し、その時の脳機能計測(NIRS、脳波)と生体計測(表情筋筋電、サーモグラフィなど)を同時に行う。この時、ユーザ体感品質(Quality of Experience)測定をアンケート形式での官能評価で同時に行う必要があるが、我々の先行研究では「ユーザ体感品質=ユーザの満足度」と定義することの妥当性が検証されたので、この成果を利用して実験を進める。次に、2眼式3DTV の脳機能計測と生体計測で得られたデータ処理に関して、静止画像を対象とした場合と同様な検討を行う。また、計測データは、2眼式3DTVを観察した時間分(例えば、10秒間程度)の計測データが存在するが、官能評価では1つの数値としてユーザ体感品質(Quality of Experience)値が得られる。よって、映像の特徴を生かした各時系列データからユーザ体感品質値へのマッピングを考える必要がある。そこで、官能評価で得られるユーザ体感品質値と、計測データをデータ処理し終えた解析データとの相関性を精査し、ユーザ体感品質値を推定するための一連のマッピング処理法を検討し、その精度を検証する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験遂行に必要な実験機材は、ほぼ準備ができている状態であるので、実験素材の作成に必要となる経費(主に消耗品など)と、成果発表に伴う国内外の旅費、評価実験を行うための被験者への謝金などに研究費を充当する。
|
Research Products
(6 results)