2012 Fiscal Year Research-status Report
三次元物体検索のためのスケーラブルな次元圧縮技術とセグメンテーションの研究
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23500119
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
青野 雅樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00372540)
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Keywords | 情報検索 / 三次元形状 / 局所特徴量 |
Research Abstract |
我々が開発した、三次元形状検索手法「多重フーリエスペクトル特徴量」(略称MFSD)は、平成24年6月29日に特許となった(特許第5024767号)。MFSDは教師なし機械学習手法としては、世界最高レベルの高性能を誇っているが、検索性能向上の余地がまだあること、インデックスが三次元物体ひとつあたり約3500次元の高次元の特徴量である点に改良の余地がある。平成24年度は、三次元検索に向けた新特徴量と新次元削減技術を開発した。新特徴量としては、ボクセル表現に基づく新しい特徴量「ボクセル空間重複分解スペクトル特徴量」(Dense Voxel Spectrum Descriptor (DVD))と、従来手法である「デプスバッファ特徴量」(Depth Buffer) (DB)とを複合した特徴量DVD+DB法を開発し、多くのベンチマークでMFSDを超える検索性能を達成した。なお、DVD特徴量に関しては、特許出願を行った。新次元削減に関しては、「局所計量保存射影法」を開発し、昨年開発した「拡散線形射影法」(1/10圧縮)よりも圧縮率が高く(1/20圧縮)、ほぼ同性能を保つことに成功した。 一方、別の研究目標であった局所特徴量の開発に関しては、機械部品の三次元CADデータベースを意識した「穴」や「凹凸」という「部分」を表す局所特徴量を捉えることのできる手法の開発を行い、国内学会で発表を行った。この手法により、「穴」や「凹凸」などの特徴と、昨年度開発したセグメンテーションから得られる部分とを照合させた新部分検索手法の手がかりが見えてきた点で有意義であった。 また、三次元物体の検索で最も困難な問題であるクエリ入力に関しては、三次元物体をユーザに用意させるのではなく、デジカメや携帯等で撮影された二次元画像から三次元物体を検索する手法を開発し、査読付き国際会議に投稿し、採択され口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、成果として特許1件、学術論文1件、国際会議論文1件、国内学会発表が前年と同程度(前年10件)を自主目標としてあげていた。平成24年度は、結果として、新規開発技術の特許出願を達成でき、学術論文は3件出版、査読付き国際会議は2件採択された。国内学会発表は昨年度を50%程度上回る16件行うことができた。 一方、大規模スケーラブルな三次元形状モデルの検索に関する実験を行うため、世界最大の三次元データ(三次元物体総数10,000)のベンチマークToyohashi Shape Benchmark(TSB)作成した。TSBは、ベンチマークデータとそれを用いた新技術を書いた論文が国際会議で採択され、口頭発表することができ、同時に、研究室のURLから世界に情報発信を行うことができた。 研究課題のひとつとしてあげていた部分検索の研究に関しては、従来の我々の手法であるMFSD法の弱点だった、「穴」「凹凸」といった部分形状に対応した局所特徴量を定義し、「穴」や「凹凸」形状が多く含まれるベンチマークデータであるESB (Engineering Shape Benchmark)で、MFSDを上回る検索性能を達成することができた。 以上のように、多方面から多くの研究成果を出すことができ、平成24年度は、当初の計画以上に進展した、という判断をした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、最終年度であり、これまで開発したが、まだ成果発表をしていない技術を学会や論文誌等で発表すると同時に、Webから使えるアプリケーションの作成とユーザインタフェースの開発に重点を置く予定である。特に、三次元データを入力として三次元データを検索するのは、我々がこれまで開発した技術で高精度が期待できる一方で、ユーザへの負担が大きい。そこで、三次元の代わりに、二次元の画像(スケッチやデジタルカメラなどの写真)から三次元形状を検索する技術にも焦点を当ててきたが、その技術を洗練化すると同時に、そのような簡便なユーザインタフェースの開発に重点を置く予定である。また、部分検索に関しては、技術的な側面から検索性能を高める技術を模索すると同時に、評価方法や評価用データに関しても焦点を当てる予定である。 以上のように、三次元物体の検索に関連する分野でのパイオニア的研究を継続的に行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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