2012 Fiscal Year Research-status Report
多様な価値観のもとで情報リソースとサービスを円滑に流通させる価値交換システム
Project/Area Number |
23500135
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
木下 宏揚 神奈川大学, 工学部, 教授 (70202041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森住 哲也 神奈川大学, 工学部, その他 (70537422)
鈴木 一弘 高知大学, 自然科学系, 助教 (50514410)
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Keywords | 情報セキュリティ / 地域通貨 / 電子商取引 / 著作権管理 / アクセス制御 / 情報検索 / 個人情報保護 / マルチエージェント |
Research Abstract |
(1)マルチエージェントの複雑系への適用により情報漏えい情報改ざんを「見える化」するシステムの研究:「個々のエンティティを護るのではく,振舞い自体を護ること」とはどういうことかを突き詰めた.マルチエージェントシミュレータ Masonによるシンプルな「群れモデル」を作り,「類似の振舞いが集まる仕組みのプラットフォーム」をJavaで作成した.(2) 群知能とゲーム理論を用いた価値交換システム:知識流通において取引を円滑にするために,地域通貨の「独自に価値を決める」という性質を活かし,多様な価値を表現可能な価値の交換システムを提案した.決済の際に使用する財としての価値ベクトルの最適な組み合わせを決定することは一般に困難なので,群知能を用いた最適化の手法を検討する.また価値交換システムでは,各ユーザが満足する効用が得られるかどうかは未解決であり,複数人の場合にそのまま適用することができない.そこで,ゲーム理論を用いた理論的検討を行った.(3) ベジェ曲線を用いた電子透かしシステム:知識流通のための著作権の管理システムの一環として,二値の線画像を対象としたトレースにも対応可能な電子透かしの実装を行う.画像投稿サイトなどが増え,インターネット上で多く公開されている漫画やイラスト等の二値の線画像に対する電子透かし構成法を提案した.(4) 検索や知識発見の要素技術となるクラウドファイルシステム:「マルチエージェントにより情報流を観測し,情報漏洩・改竄を引き起こす情報流(covert channel)を推論・自律的制御して状況を人に示し,防止することを支援するエージェントシステムの研究の一部分として,クラウドの中にあるファイルを群れの一員と見做し,「似ているファイルが集まる」という概念に基づくシステムを「クラウド・ファイルシステム」と名付け,アンドロイド・タブレットに実装する研究を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多様な価値観を反映する地域通貨システムについては、前年度までの研究成果の基本的なモデルに基づいて,これが有効であることを一定の前提条件のもとでゲーム理論を適用して確認することができた.一方で多様な価値の評価を行う関数については,今後主観評価などを通して詳細を決定する必要がある.情報コンテンツの著作権管理の技術については,流通のトレースの一環としてベジェ曲線を利用した電子透かしの提案を行ったが,二次利用の自律的調停については,プロトコルを詳細に構築した上で今後実装実験などが必要となる.情報コンテンツの流通におけるセキュリティについては前年度までのカバーとチャンネル解析の高速化など一定の成果を挙げられたことを踏まえ,マルチエージェントをベースとしたクラウドファイルシステムやユーザの情報アクセスの振る舞いを解析することにより,さらに利便性と安全性を両立することが可能なアクセス制御のフレームワークを構築することができた.以上より全体としてはおおむね順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
多様な価値観を反映する地域通貨システムについては、著作権を価値の交換の概念の要素的な組み合わせで記述可能なモデルを構築する。これに基づいて権利の行使に価値のベクトルを割り当て、これを他の情報リソースやサービスのベクトルと比較することにより決済を行うシステムを提案する。また,市場モデルなどのゲーム理論による解析を様々な状況に適応して提案した地域通貨が流通可能であるかさらなる検証を行う.情報コンテンツの著作権管理の技術については,二次利用の自律的調停のプロトコルを詳細に構築した上で実装実験を行う.情報コンテンツの流通におけるセキュリティについては,ユーザの振る舞いに着目したアクセス制御について,マルチユーザエージェントシミュレータを用いて解析を行い,適用する群知能モデルの最適な組み合わせについて検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度購入予定であったマルチエージェントシミュレータは,次年度での支出が当初の計画を上回る可能性が出てきたため,別の学内の予算より支出を行い,繰り越すこととした. 次年度では,コミュニティ内のユーザと情報のふるまいを群知能を用いてシミュレーションするためのマルチエージェントシミュレータの結果を踏まえて,これらの視覚化をアンドロイド端末上で視覚化するためのソフトウェアとこれを実行するための端末を購入する.また、研究成果を国内外の学会で発表するための旅費、印刷代に支出する。
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[Book] IT Enabled Services2013
Author(s)
S. Uesugi, T. Kobayashi, H. Okada, Y. Dan, K. Murata, S. Yamasaki, E. Kimura, E. Kabbar, P. Dell, P. Spijkerbosch, Y.-H. Tao, N. Cooharojananone, K. Atchariyachanvanich, H. Kinoshita, etc.
Total Pages
256
Publisher
Springer