2013 Fiscal Year Research-status Report
多様な価値観のもとで情報リソースとサービスを円滑に流通させる価値交換システム
Project/Area Number |
23500135
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
木下 宏揚 神奈川大学, 工学部, 教授 (70202041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森住 哲也 神奈川大学, 工学部, その他 (70537422)
宮田 純子 神奈川大学, 工学部, 助手 (90633909)
鈴木 一弘 高知大学, 自然科学系, 助教 (50514410)
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Keywords | 情報セキュリティ / 地域通貨 / 電子商取引 / 著作権管理 / 群知能 / ゲーム理論 / アクセス制御 / 個人情報保護 |
Research Abstract |
地域通貨システムによっては他者から財・サービスを受領するが, 自らは何も財・サービスを提供しないフリー・ライダーの問題が発生する可能性がある. そこで, フリー・ライダーが発生しにくい仕組みを提案した. キャリアという概念を導入し, 地域通貨の価値保蔵の機能を口座に, 交換手段の機能をキャリアに分離する. キャリアは所有者によって通用力が変化する仕組みを持つ. これによって, フリー・ライダーの活動を制限する.地域通貨において,効率よく取引相手を発見したり,同じコミュニティ内でも価値観が異なると流通しない可能性がある.これまで提案されてきた異なる価値観を持つ二者間の価値交換システムでは,各ユーザが満足する効用が得られるかどうかは未解決であり,複数人の場合にそのまま適用することができない.そこで,ゲーム理論を用いて特定の条件下で,n人の各ユーザにおける効用が満足するようなモデルを提案した.ネットワークからの攻撃の対策には,ネットワークからの攻撃を検出する侵入検知システム(IDS)と不正アクセスを観測するのに効果的なハニーポットがある.ネットワークの統計的情報を取得し,クラッキングの技術を学習するためには,これらを組み合わせて使う必要がある.しかし,ハニーポットの使用には,他組織への攻撃への踏み台の温床になるなどの倫理的問題が発生する可能性がある.そこで,ハニーポットとIDSの問題点について考察し,これらの動的組み合わせについて提案した.この手法では,IDSによる検知結果に応じて攻撃者からの全パケットを運用しているネットワークからハニーポットのネットワークへ自動的にリダイレクトする.ハニーポットは一般のホストとは直接通信せずに,特定された攻撃者のみと通信を行うため,ハニーポットに付随する付加的な攻撃や倫理的問題を改善できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初の計画では,価値交換システムによる著作権のモデル化とゲーム理論の市場モデルによる価値交換システムの評価、ユーザの「ふるまい」に基づくアクセス制御において適用する群知能モデルの最適な組み合わせを検討することに力点を置くことにあった. 価値交換システムによる著作権のモデル化については,後述のゲーム理論による価値交換システムの評価を行ったあとに行うほうが適切と考えたため,基礎的な検討にとどまった.ゲーム理論の市場モデルによる価値交換システムの評価においては``A model of the value exchange system in the university with the big boss game,'' においてゲーム理論のビッグボスゲームがコミュニテイ内での価値交換に重要な役割を果たすことを示し,`` Game theoretic analysis of the value exchange system,''では,ゲーム理論の市場ゲームを適用することで提案した多様な価値観を反映可能な地域通貨が流通可能なことを示した.アクセス制御において適用する群知能モデルの最適な組み合わせを検討については,``ACOを用いた検索過程を重視した検索手法,'' および``自己組織化可能な群知能を用いた情報リソースの管理''において「ふるまい」をどのような群知能モデルで適応するべきかという問題において示唆を行うことができた.以上より研究計画全体としては着実な成果が得られつつあり,達成度としては概ね順調に進展しているものと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
情報コンテンツの流通のセキュリティについては,ハイパーグラフを用いた推論攻撃を対象としたカバーとチャンネル検出について,これまでに提案した手法では,特定のユーザ(サブジェクト)の読み込み操作に起因した推論攻撃のみを対象としていたが,これを一般化し,各サブジェクトが読み込み操作で得た情報に推論を行った結果を書き込んだ場合についてモデル化を行い,提案手法が有効であることを検証する.また,流通のセキュリティでは,群知能を用いて,ユーザの振る舞いを解析することにより,柔軟で安全性と利便性を両立させた粒度の細かいアクセス制御を実現させ,ユーザがセキュリティポリシーと情報の可用性のバランスを視覚的に把握可能なインタフェースを構築することを目指しているが,その研究過程で,群知能によるふるまいの解析と視覚的なユーザインタフェースが,全体の研究目的でも触れた「未知の知識をシステムが発見しユーザに提示」するためのフレームワークにも応用可能なことがわかってきたため,これをクラウド上の様々な情報を自己組織的に編成しユーザに提示するシステムをクラウドファイルシステムとして研究をスタートした.クラウドファイルシステムの実現がカバーとチャンネルの検出と防止に対しても有用な要因となると考えられる.決済手段としての価値交換システムは,昨年度に引き続きゲーム理論に基づくモデルを検討し,価値の評価関数について考察する必要がある.著作権管理については,価値交換システムやクラウドファイルシステムで得られた知見を元に発展させていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は旅費の支出が多く見込まれるため,当初予定した物品については他予算を利用した. IEEEの国際会議のESTPSA 2014(The 9th IEEE International Workshop on Security, Trust and Privacy for Software Applications)や電子情報通信学会技術と社会・倫理研究会など国内外での研究成果発表の旅費として使用する.また,群知能でモデル化したシステムについてシミュレーションを行うマルチエージェントシミュレータをさらに効率的に運用するため追加購入する.またユーザインタフェース構築を行うためのタブレットおよびソフトウェアを購入する.
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