2011 Fiscal Year Research-status Report
具象化に基づく3次元CGコンテンツの自動生成と対話型進化計算を用いた最適化の研究
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23500150
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 義広 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (70250488)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メディア情報学 / データベース / ヒューマンインタフェース / 3次元グラフィックス / ソフトウェア開発 / バーチャルリアリティ |
Research Abstract |
本応募研究は,3次元CGコンテンツの自動生成と対話型進化計算による最適化に基づき,(1) 3次元形状データおよびモーションデータの検索技術の研究開発,(2) 3次元形状データおよび3次元CGシーンの編集生成技術の研究開発,(3) モーションデータおよび3次元CGアニメーションの編集生成技術の研究開発,(4) 3次元ソフトウェア部品の自動合成技術の研究開発,(5) 3次元CGコンテンツ作成およびユーザ評価実験を行う計画である。本年度は,主に(1)と(2)について以下のように研究開発を実施した。 (1) モーションデータについては,データベースを階層的にクラスタリングして木構造化し,その木を辿る操作によってユーザの必要とするデータを見つけ出すことができるツールを開発した。3次元形状データについては,遺伝的対話型進化計算を用いてデータを絞り込むことによってユーザの必要とするデータを見つけ出すことができるツールを開発した。絞り込みが効率よく行えるためには,検索されたデータをどのようにユーザに提示するかといった提示手法が重要であり,ユーザ評価実験によりそれらを明らかにした。 (2)パラメータ設定により顔の表情を作成するツールをすでに開発しており,パラメータ設定の自動化と対話型進化計算の単純な選択操作により,計算機に顔の形状データを自動生成させるツールの研究開発を実施した。そのために,顔の形状をいくつかのパーツに分割するセグメンテーションが必要であり,セグメンテーションのための特徴量抽出とセグメンテーションツールの開発を行った。人の体の形状データの場合も,同様のアプローチを試みる予定である。また,3次元CGシーンの自動生成に関しては,音声コマンド入力のみにより地形データの自動生成が行えるツールを開発した。さらに,動画像データからモーションデータを自動生成するツールの研究開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本応募研究の目的は次の5つである。(1)3次元形状データおよびモーションデータの検索技術の研究開発:3次元CGコンテンツ制作における制作コストの削減のために,既存データを再利用することは必須である。ユーザが必要とするデータを効率よく絞り込み検索できるツールを研究開発する。(2)3次元形状データおよび3次元CGシーンの編集生成技術の研究開発:3次元CGコンテンツ制作において,ユーザが必要とする3次元形状データおよびそれらを組み合わせた3次元CGシーンを簡便に編集生成できるツールを研究開発する。(3) モーションデータおよび3次元CGアニメーションの編集生成技術の研究開発:ユーザが必要とするモーションデータおよび3次元形状データとを組み合わせた3次元CGアニメーションを簡便に編集生成できるツールを研究開発する。(4) 3次元ソフトウェア部品の自動合成技術の研究開発:3次元ソフトウェア部品の機能的な合成制約および,上記(2)の編集生成技術を利用することにより,ユーザが必要とする合成部品を効率よく簡便に生成できるツールを研究開発する。(5)3次元CGコンテンツ作成およびユーザ評価実験:ソフトウェアの有用性を明らかにするために応用システム開発とユーザ評価は必須である。 平成23年度は,(1)と(2)について主に研究開発を実施した。(1)の研究について,モーションデータの絞り込み検索ツールに関する業績として,1件の査読付き国際論文誌論文,1件の査読付き著書チャプター論文を発表している。3次元形状データの絞り込み検索ツールに関する業績として,査読付き国際会議論文1件の採録が決定している。(2)の研究については,2件の国内発表と1件の査読付き国際会議論文を発表している。 以上のように平成23年度は十分な研究業績があり,当初の計画通りに研究が進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の未完了の研究項目を継続して行うとともに,以下の項目について研究開発を進める。 (3) モーションデータおよび3次元CGアニメーションの編集生成技術の研究開発:多数のモーションデータに対して特徴的な姿勢データを抽出し,それぞれ連結可能な姿勢データをランダムに選択して補間することによりモーションを自動生成するシステムの開発を行っており,今後は,ユーザ評価による問題点の抽出とその改善を行う。3次元CGアニメーションの場合には,モーションデータを人の体の形状データへ適用することにより自動生成が可能となる。どのモーションデータをどの人の体の形状データへ適用するかをランダムに選択する。対話型進化計算の単純な選択操作を用いて最適化することにより,ユーザが必要とするデータの生成を可能とする。 (4) 3次元ソフトウェア部品の自動合成技術の研究開発:研究基盤システムであるインテリジェントボックスを用いて開発された3次元CG応用ソフトウェアが数多くあり,合成された3次元機能オブジェクトが多数存在する。これら既存の3次元機能合成オブジェクトの合成情報や機能合成する際のユーザ操作履歴情報から,各部品の組み合わせ可能パターンを学習し,合成可能制約データベースを構築することにより,3次元ソフトウェア部品の自動生成を目指す。また,対話型進化計算の単純な選択操作を用いて最適化することにより,ユーザが必要とするデータを簡便に生成できるツールを開発する。 (5) 3次元CGコンテンツ作成およびユーザ評価実験:応用として3次元CGコンテンツ作成を行い,その過程において有用性等のユーザ評価を行う。有用性を明らかにするとともに,発見された問題点の改善を図ることにより,真に有用なツールの開発を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1) 設備備品費等:本応募研究は,プログラム開発を行いながら研究を進める。平成24年度には,応用システム開発とユーザ評価実験のために高性能グラフィックスワークステーション一式(479千円)を追加購入する。平成25年度は,研究成果の発表に重きをおくため,設備備品の購入は行わない。 (2) 謝金:本申請研究は,研究協力者である7名の大学院学生とともに遂行する。平成24年度は,プログラム開発を実際に行いながら研究を進めるため,296千円(40人日×@7,400円)のプログラミング補助謝金が必要である。平成25年度は,研究成果の発表に重きをおくため,謝金は必要ない。 (3) 旅費:国内旅費としては,平成24年度は主に成果発表のための旅費として,225千円(3回@75千円(東京(2泊3日))程度の旅費が必要である。本申請研究では,積極的に国際論文として研究成果を発表する予定である。外国旅費としては,平成24年度と25年度にそれぞれ,600千円(2回@300千円(欧州))程度の旅費が必要である。 (4) その他 3年目の平成25年度末に報告書を作成するため,100千円の報告書印刷費が必要である。
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