2011 Fiscal Year Research-status Report
感性マルチメディアディスプレイの試作と感性評価に関する研究
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23500157
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
伴野 明 東海大学, 情報通信学部, 教授 (90328104)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ヒューマンインタフェース / 表示装置 / 感性マルチメディア / 香り / 評価 |
Research Abstract |
<研究実施計画>本研究課題は、映像と香り・気流が一体として提示できるスクリーン方式の感性マルチメディアディスプレイ(KMMD)を試作し、3次元の映像を表示すると共に、表示対象の近くから香り、又は、気流を提示し、心理的効果をアンケートによる主観評価、及び、生体反応計測装置を用いた客観評価により明らかにするものある。このために、サブ課題として、(1)スクリーン方式のKMMD 構成法、(2)観察者の位置検出と気流や香りの提示法、(3)映像・香り一体提示コンテンツの感性評価法を設定する。初年度は、(1)(2)に重点を置き、感性評価のための実験環境を構築する。2年度は、実験環境の改良と共に、様々な映像に香り・気流を提示し、感性を評価する。最終年度は、香りの有無によるコンテンツ評価を検討する。<平成23年度の研究実績>スクリーン方式のKMMDを試作した。画面サイズは、横1800mm、縦1200mmで、この中に、気体通過パネル(横400×縦200mm×厚さ1.5mm)が9枚実装されている。パネルには、2mmφの穴が、3.5mm間隔で設けられている。この画面の裏側に気圧発生機構を設け、気体通過画面を実現した。画面に映像を表示し、気体に香りを混入し、映像観賞中の被験者に向けて放出し、このときの視覚特性、嗅覚特性を調査する主観評価実験を行った。その結果、画面に設けた穴によって、映像品質が大きく低下すると言う意見は余りなかった。また、香りを数m離れた被験者に受容させることができた。次に、画面に複数の食品表示し、一部の食品画像の近傍から関連する香りを放出する実験1と、関連しない香りを放出する実験2を行い、このときの被験者の視線データを分析した。その結果、実験1の方が、対象食品が長く見られ、視線の動きも自然なことを明らかにした。これらの成果は、国内外の学会に発表しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大型のKMMDを試作することができ、特性評価から、概ね予測通りの結果が得られた。当該試作品を用いることにより、視覚に加えて、空気触覚、香りを提示できる実験環境を構築できた。複数の感覚刺激を組み合わせて提示する実験を開始しているが、興味深い結果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
薄い板状のスクリーンに多くの微細な穴を設けることで、画面から気体や香りを放出できる映像システム実現の可能性が示された。このシステムは、デジタルサイネージに利用すれば、通行人の注意を引き付け、広告効果を高める応用が期待できる。対象映像の近くから香りを出した場合と、そうでない場合で視線の動きや生体反応を計測し、KMMDの臨場感特性を引き続き調査していく。被験者数を増やし、結論を明確化し、論文などで成果を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
画面の前の観察者にあたかも表示対象が匂っているかのように香りを提示する方法を検討する。このため、画面の裏側から香りを観察者に向けて放出する機構と、放出方向を制御する機構を設計・試作し、被験者実験により、嗅覚特性を評価する。少ない香料で、効率の良い嗅覚提示を行うため、観察者に吸気を促し、当該吸気時を推定し香りを提示する方法を検討する。このため、吸気を誘導する感覚刺激提示実験系を設計・試作し、映像コンテンツを制作する。また、前年度のKMMD試作の成果を国際会議等で発表する。
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