2011 Fiscal Year Research-status Report
ロービジョン者のためのホログラフィック光学素子を用いた拡張現実めがねの開発
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23500163
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Research Institution | Hyogo Prefectural Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀧澤 由佳子 兵庫県立工業技術センター, 情報技術部, 主任研究員 (20470255)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ホログラフィック光学素子 |
Research Abstract |
本研究が開発する拡張現実めがねには、本体を小型・軽量化をするために集積型HOEを用いている。このHOEは視界の像を結像させるための透過型HOEと背景光ノイズをカットするための反射型HOE(以下、背景光カットフィルタHOE)で構成される。背景光ノイズとはカメラの光軸方向からの直進光や周辺からの光であり、これがカメラに入射すると画像中では所望の像と背景の像が混在し鮮明な像が得られない。本研究で背景光ノイズカットフィルタHOEを透過型HOEと集積させることにより、良好な像を得られるようにする。これまでに結像用HOEの設計・評価のためのシミュレーターを構築し、結像用HOEの作製を行ってきたが、背景光カットフィルタHOEの最適設計、評価は行っていない。 平成23年度において、背景光カットフィルタHOEの特性を評価するために、Kogelnikの結合波理論に基づいたシミュレーターを構築した。Kogelnikの結合波理論では、入射角度、波長等のパラメータとして、入射平面波がHOEに入射したときの射出平面波の回折効率を求めることができ、本シミュレーターにおいて、HOEに作製される屈折率分布の算出とその屈折率分布に基づいて射出される平面波の射出角度、回折効率の算出を行った。 そして、その結果にもとづいて、HOEへの入射角度、設計の回折方向等の作製条件を得た。の評価を行う。そして、実際に入射平面波と所望の射出平面波をHOE上に干渉させる、HOEの作製光学系を構築して、背景光カットフィルタHOEを試作した。波長特性を調べたところ、所望の回折方向に光を回折し、背景光カットの機能があることが確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一応、背景光カットフィルタHOEを作製し、背景光をカットできる機能については確認できているが、その効率についてはばらつきが認められる。今後、作製時の環境(温度)、干渉露光後の後処理で行う、加熱、UV光照射条件についても調べ、ばらつく原因等を検討したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在の達成度」においても記載したが、背景光カットフィルタHOEの回折効率のばらつきの原因について検討するために、作製時の環境(温度)、干渉露光後の後処理で行う、加熱、UV光照射条件についても調べ、集積型HOEのうちの背景光カットフィルタHOEの作成については見通しを立てたい。さらに、平成24年度において、集積型HOEのうちの結像用HOEを用いた撮像光学系により得られる画像を評価するため、Angular Spectrumに基づいたシミュレーターを構築する。Angular Spectrumでは2次元平面間を伝播する任意の光波を算出できる。シミュレーションでは、HOEの厚さ、屈折率分布の他、像からHOEまでの距離、HOEからカメラの撮像面までの距離をパラメータとしてカメラで得られる画像を算出する。そして、この画像のMTF(Modulation Transfer Function)を計算する。MTFは被写体の持つコントラストをどの程度忠実に再現できるかを空間周波数特性で表したものであり、レンズの結像性能の指標の一つとなっている。MTFを算出することにより、集積型HOEの作製条件の最適化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
集積型HOEのうちの背景光カットフィルタHOEおよび結像用HOEの作製のための実験材料、機器等を購入して作製実験を行う予定である。一方、このようなウェアラブルタイプの撮像光学系の応用について調査を行いたいと考えている。
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