2012 Fiscal Year Research-status Report
不完全情報下での隠れた社会ネットワーク推定と普及プロセスの研究
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23500168
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
倉橋 節也 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (40431663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 和彦 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (50302378)
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Keywords | 社会シミュレーション / パターン指向 / 進化計算 / 複雑二重ネットワーク |
Research Abstract |
1)規範行動および情報価値行動の両者を考慮した認知モデルの設計 教育現場における学習者の理解の状態を把握し、それに応じて教授内容を設計するための手法を設計した。用いたモデルは、複雑二重ネットワークを採用し、学習者の知識構造を表す内部ネットワークと、学習者間の協調学習行動を表す社会ネットワークに分離した2重ネットワークで、学習者の理解状況をモデル化した。教師は、教育規範に基いた教授方略をひとつ選択して教授を行い、学習者は得た知識をベイジアンネットワークでモデル化された知識構造ネットワークに従って更新する。また、教室内の規範に基いて学習者間で協調学習を行なう。このようなモデルにおいてシミュレーションを実施した結果、知識構造に基づく教授方略が最も効果的であることが判明した。成果は、SSI2012 等で公表した。 2) 進化計算を用いた複数パターンによる大規模逆シミュレーション法の研究 イノベーション普及過程における情報伝播の構造を、マルチエージェントモデルで設計し、複数パターンによる大規模逆シミュレーション法のための進化計算手法の実装を行った。進化計算手法として、初期解が最適解を覆っていなく状態でも効率的に解探索が可能な、大域的降下方向を用いた多親交叉実数値GAを採用し、これを統計プログラミング環境Rに実装することで、大規模な逆シミュレーション環境を構築することができた。成果は、KES-AMSTA2013 で公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度研究では、3) 規範行動および情報価値行動の両者を考慮した認知モデルの設計、4) 進化計算を用いた複数パターンによる大規模逆シミュレーション法の研究、の2項目を行なうことを計画していた。それぞれ、研究実績の概要に述べたように、教育現場における学習者の理解の状態をモデル化する手法の開発、およびイノベーション普及過程における情報伝播の構造を、大域的降下方向を用いた多親交叉実数値GAを採用したマルチエージェントモデルで実装する環境を構築することができた。 これらを理由として、概ね初年度の計画は順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度研究費は、海外発表などの成果公開時期が次年度にずれたこともあり、繰越が生じた。その分をあわせて、最終年度である本年度に、複数の国際会議において成果発表を計画している。 また、社会シミュレーションによる情報伝播・普及過程の動的な解析の研究が本年度の課題として設定されており、動的計画法をベースとした演繹的エージェントベースモデリング手法を確立し、それに基づく実証研究を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越金が生じた状況及び25年度分と合わせた使用計画: 24年度において、海外発表などの成果公開時期が次年度にずれたことで繰越が生じた。よって、繰越金は昨年度に実施した研究成果を、本年度の国際会議で発表するための校閲費、旅費として主に使用する予定である。また本年度、論文作成のための資料代と採択論文公表のための学会費用、および成果発表参加費、旅費を予定している。加えて、研究成果を広めるためのシミュレーションプログラミング環境として、NetLogoの日本語化を進めており、そのための費用を若干見込んでいる。
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Research Products
(6 results)