2012 Fiscal Year Research-status Report
リフティング複素ウェーブレットに基づくモバイル図鑑検索システムの構築
Project/Area Number |
23500183
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高野 茂 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (70336064)
|
Keywords | 画像認識 / 情報システム / 一般物体認識 / 類似画像検索 / ウェーブレット / 電子図鑑 |
Research Abstract |
今年度は、信号・画像から特定の周波数特徴を抽出することのできる複素リフティングウェーブレットフィルタの設計法を確立した。提案手法では、自由パラメータをもつリフティングウェーブレット変換の低周波フィルタの周波数特性に着目し、所望のバンドパス特性をもつようにそのパラメータを決定するアルゴリズムを構築した。本手法により設計された低周波フィルタを用いて、信号・画像からバンドパス成分を抽出するリフティング複素ウェーブレット変換(LCWT)を実現できる。LCWTは、既存のウェーブレット変換やウェーブレットパケットでは抽出することのできないマルチレベル・スケールの局所特徴量の抽出することができ、音声信号の認識・識別、画像の物体認識へと応用することができる。画像の局所特徴を抽出するためには、画像のマルチスケール特徴からキーポイントとなる点を検出する必要がある。本研究では、LCWTの組を構成し、効率よくマルチスケール特徴を計算する。具体的には、5 つのバンドパス特性をもつリフティングウェーブレットフィルタの組を構成した。これにより高周波フィルタにより抽出される高周波成分を、さらに5 つのスケールの特徴として分割抽出することができる。画像のキーポイントは、抽出したマルチスケール特徴の分解レベル間も含めた周辺の極大点として抽出される。これらをすべて計算するのではなく,初期フィルタにより計算された高周波成分の大きな点についてのみLCWTによるマルチスケール特徴を計算する。これにより、高速にキーポイントを検出することが可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の計画通りに、類似画像検索の精度が向上するようにパラメータを決める手法を開発した。実証実験を行うために、モバイル端末より類似画像検索を実行可能なモバイルアプリケーションを開発した。提案手法によるタブレット端末による図鑑検索システムを構築し、昨年度に引き続き、実際に小学生を対象とした実証実験を行うなど社会的貢献を果たしている。本年度は、研究成果の口頭発表を行ってきたが、来年度の国際会議、論文にて発表を目指し、準備している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、電子図鑑構築システムの開発を遂行する。提案するLCWTに基づく局所特徴抽出では、SIFT などの既存手法と同様に、画像の局所特徴としてキーポイント周辺の画像の勾配情報にもとづく特徴ベクトル(128次元)を抽出する。本研究では、データベース画像全体における特徴ベクトルの出現頻度を計算し、画像の類似度に役立つ特徴をVisual Word として抽出する。これにより画像の特徴はVisual Wordの頻度として表すことができ、高速に照合することが可能となる。これまで、テスト画像に関する精度が向上するように、リフティングパラメータを遺伝的アルゴリズムにより計算し、類似画像検索の手法に基づくロボットビジョンの物体検出の精度向上を実施した。現在、タブレットPC 上で操作可能な類似画像検索システムのインターフェースを実装している。このインターフェースを介して入力される質問画像は、容易にユーザの注視領域を指定することができる。今後は、ユーザの画像検索の意図を反映するVisual Wordの構築を目指す。さらに、Kinectにより取り込んだ3次元空間データを、画像クエリから引き出す新しい仕組みを開発し、マルチメディア電子図鑑構築システムへの発展を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、電子図鑑構築システムに関するアプリケーション開発のための物品の購入、基盤システムの開発費および、学生アルバイトを雇用が必要となる。さらに研究成果を国内外において発表するために旅費が必要となる。
|