2012 Fiscal Year Research-status Report
談合の影響を受け難い組合せ調達メカニズムとその調整技術の開発
Project/Area Number |
23500184
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩崎 敦 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (30380679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横尾 真 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (20380678)
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Keywords | ゲーム理論 / メカニズムデザイン / オークション / 談合 / 架空名義操作 |
Research Abstract |
本研究は,談合の存在を考慮した入札方式(メカニズム)をモデル化し,これまでの架空名義操作に関する一連の研究の蓄積と最適化を基礎とするメカニズム設計手法を相互に利用しながら,談合の影響を受け難い組合せ調達メカニズムとその調整技術を開発することを目的とする.組合せ調達メカニズムとは1 人の買い手が複数の財やサービスの組合せを複数の売り手から同時に調達する入札方式のことを言う. 近年,公共事業の入札などで談合が多発していることが指摘されている.談合とは,競争入札において複数の入札者が前もって落札者や入札額などを協定し,入札者の利益を不正に増加させる行為である.このような社会的に不適切な談合や一円入札を従来の入札方式が防ぐことができない原因として,談合の存在を考慮した入札方式の構造を正しく解析・評価するための理論的基盤が極めて脆弱であることが挙げられる.このため本年度は,従来の談合を内包したメカニズムのモデルをもとに,従来の単一財調達メカニズムを複数同一財調達へ拡張した.その結果,談合に頑健なメカニズムが,財の買い手の費用の期待値を最小化するメカニズムとほぼ同値になることがわかった.さらに組合せ調達,つまり2つ以上の異なる財を調達するためのメカニズムにおける費用最小化は,メカニズムデザイン理論の中でも長年の未解決課題となっている. そこで,一般的な状況における費用最小化メカニズムを考える代わりに,自動メカニズム設計(最適化)の観点から,ある状況に特化した費用最小化メカニズム の探索を進めた.具体的には,連続的な関数表現を用いて,自動メカニズム設計の出力表を表現し,連続的数理計画の手法を巧く適用し,費用を最小化するメカニズムのルールを計算で求める.本手法により,メカニズム実行者がパラメータを変更するだけで買い手の費用や取引量といった性能を調整するメカニズムを提案している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,従来の談合を内包したメカニズムのモデルをもとに,従来の単一財調達メカニズムを複数同一財調達メカニズムへ拡張した.その過程で,談合に頑健なメカニズムが,財の買い手の費用の期待値を最小化するメカニズムとほぼ同値になることがわかった.これに対して,自動メカニズム設計(最適化)の観点から,ある状況に特化した費用最小化メカニズムの探索を進めることで,売り手の費用の構造,つまり売り手がどんな財の組合せをいくらで売りたいと考えているかに応じたメカニズム設計の目処がたちつつあり,メカニズムの調整技術に顕著な進捗を得ることができた.また,本研究に関連する成果として雑誌論文1件,難関国際会議4件,国内会議7件の論文を発表している.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果を踏まえて,談合の影響を受け難い組合せ調達メカニズムの理論的条件を早急に明らかにすることを考えている.また,これらの拡張のために導入した,自動メカニズム設計(最適化)を基礎とするメカニズム設計手法から,メカニズム実行者がパラメータを変更するだけで性能を調整可能な一連のメカニズムを提案してく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
とくに当初計画と変える予定はない.
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Research Products
(17 results)