2013 Fiscal Year Research-status Report
サイバー・フィジカルシステムのためのスケーラブルなセマンティックサービス基盤技術
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23500199
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
岩爪 道昭 独立行政法人情報通信研究機構, ユニバーサルコミュニケーション研究所, 統括 (80319756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼岩 憲 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (00342626)
小林 一郎 お茶の水女子大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (60281440)
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Keywords | ビッグデータ / セマンティックウェブ / Open Linked Data / 大規模分散データストア / 大規模グラブ分析 |
Research Abstract |
スケーラブルなセマンティックサービス基盤技術の実現に向けて、平25年度は、近年急速に増加、流通しているオープンリンクドデータとそれを支えるビッグデータ基盤技術の実証検証に焦点を当て研究開発に取り組んだ。 (1)大規模意味資源のサービス指向モデリングに関しては、平成23年度、24年度に検討してきたイベントデータの形式的モデリング手法を、DBpediaなどの意味的資源に適用し、プロパティ情報に着目したランキング手法の定式化を行った。またこれと並行して、実応用アプリケーションとして、平成24年度に収集したライフログデータを対象にして、当該モデリング手法の適用可能性についても検討を行った。 (2)スケーラブルなサービス疎結合技術については、意味的なリンク解析のさらなる高度化・大機規模化に取り組んだ。具体的には、高度化に関しては、(1)で定式化した意味的プロパティ情報のランキング手法を実装し、DBPedia全データを対象にした実証実験を行い、従来手法との比較し、その有効性について確認した。 (3)トランススケールなサービスモニタリング技術については、平成24年度に試作したクローリング情報の可視化システムを改良、拡張し、オープンリンクドデータやHTML形式の文書を収集、蓄積、解析するための大規模クローラー、分散データストア等のミドルウェアおよびそれらが稼働する大型計算機のハードウェアの動態情報を可視化し、安定的に運用を支援するためのモニタリングシステムを試作し、動作検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国内において近年感心が高まっているビッグデータおよびOpen Linked Dataの利活用を支援する意味的サービスに着眼し、意味的属性を考慮したグラフランキングアルゴリズムを開発し、その有効性を実験により確認した。この技術は、今後さらに大量に流通すると予想されるオープンデータとそれに基づくサービスの疎結合連携において、最も基盤となる枠組みを提供する。その成果の一部は、情報処理学会第76回全国大会において学生奨励賞を受賞(研究分担者・小林一郎氏との共著、筆頭著者は、研究分担者の研究室に所属する学生)するなど、高い評価を得ている。 これらの成果は、国際会議2件(いずれも査読あり)、国内会議5件に発表した。さらに、2013年度人工知能学会全国大会においてオーガナイズドセッション「ビッグデータとAI」を企画し、研究代表者以外にも産学より多数の発表、聴講があり高い関心を集めた。
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Strategy for Future Research Activity |
サイバー・フィジカルシステムにおいては、当研究課題が対象にしてきたオープンリンクドデータ等のネット上の情報だけでなく、センサーネットワーク等からの実世界情報の収集・蓄積と活用のためのサービス化が重要である。このようなデータは、生成速度が速く、また構造化されていないため、従来のバッチ処理型のアプローチでは対応できない。大規模なストリームデータをメモリー上でリアルタイムに解析し、再利用可能な形で構造化、永続化するためのマイニング技術やインメモリ―データベース技術が不可欠である。またそれらを実際に動作させるためには計算機基盤も従来のハードディスク主体のストレージ装置ではなく、メモリやSSDを豊富に搭載したサーバが必要である。このような背景から、研究代表者の所属機関では、平成25年度末に、最大で14Tバイトのメモリ空間を有する大規模共有メモリ型計算機を導入した。今後は、このような新しい大型計算機を用いて、より実際のアプリケーションに近いデータを用いた検証とアルゴリズムの改良を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度に、研究代表者の所属機関が保有する大型計算機設備を用いたオープンリンクドデータを対象にした総合実証評価を行うとともに、国際会議にて発表する予定だったが、当該設備設置のための工事の工期が土壌改良等により延びたため、サーバ機器の調達・稼働にも遅れが生じた。これにより、総合評価の実施とその成果発表を次年度に延期せざるを得なくなり未使用額が生じた。 大型計算機設備を用いた総合実証を進め、その成果をH26年度の国際会議で発表し、雑誌論文への投稿も行い、これらの経費に充てる。
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