2012 Fiscal Year Research-status Report
複数のマイクロホンによる骨導振動のピックアップと骨導音声の品質改善
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23500203
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
島村 徹也 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40235635)
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Keywords | 骨伝導 |
Research Abstract |
音声認識、話者認識においては、無雑音環境下においてほぼ100%に近い認識率を得るに至っている。しかしながら、実環境としての雑音環境下においては、認識率が50%以下になるなど大幅に低下してしまうことがよく知られている (Speech Communications : Human and Machine, IEEE Press, 2000)。一方、電話においても、駅や交差点など、高騒音を伴う環境では、情報を正確に伝達できず、これらを例としても明らかなように、音声処理システムの今後の進展においては、雑音対策が極めて重要である。 申請者の研究室では、広い意味での音声処理システムへの応用を念頭にこれまで音声分析の研究を進めてきた。また、実システムとしての利用を目的としたときの雑音環境下での音声処理の重要性を考慮し、雑音環境下での音声特徴パラメータの抽出及び雑音付加音声中の音声のみの強調の問題(音声強調)に着手してきた。最近では、特に後者とも関連し、特殊なマイクロホンを利用することにより、雑音環境下、特には高騒音環境下においてさえも高い信号対雑音比(SNR)が確保できることから、骨伝導マイクロホン(骨導マイクロホン)の利用に着目してきた。本研究での申請は、この骨導マイクロホンから収録された音声、骨導音声、を利用し、その品質改善を図り、広く音声処理システムへの応用に努めるものである。 本年度は、骨導音声の品質改善を行うことを前提に、骨導音声の波形レベルの変化を調査し、特に子音部分と母音部分の相対関係を気導音声と比較する形で明らかにした。また、骨導音声の基本周波数に着目し、信号雑音比がマイナスdBの劣悪環境下においても高精度な基本周波数抽出が可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定であった、複数の振動ピックアップされた骨導音声入力から、含有される付加雑音を最大限に抑圧し、最良品質な骨導音声を出力する、多入力1出力型の音声強調システムを構築する等にはまだ進んでいない。これは、利用する骨導マイクのプラグが特殊であるため、容易に複数の骨導マイクを利用することができない理由からである。しかしながら、従来の骨導マイクと気導マイクの組み合わせの方法を利用することで、骨導音声の特に基本周波数を雑音環境下においても高精度に抽出できることがわかった。これにより、基本周波数を利用する、新たな音声強調システム構築の可能性が見えてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、申請者の所属する大学内の総合技術支援センターに、骨導マイクのプラグ接続のための回路作成を依頼しており、その後、当初の予定であった複数の振動ピックアップされた骨導音声からの骨導マイクのフィッティング依存性を調べる。そして、最適なフィッティング方法を見出す予定である。また、複数マイクから得られる複数の骨導音声入力から、含有される付加雑音を最大限に抑圧し、最良品質な骨導音声を出力する、多入力1出力型の音声強調システムを構築する等に進んで行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)