2012 Fiscal Year Research-status Report
解剖構造と異常部位の時空間統計モデルと画像診断支援
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23500205
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
清水 昭伸 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80262880)
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Keywords | 画像認識 |
Research Abstract |
人体内の組織は,その位置,形状,濃度値について個人差が存在するが,共通性もあり,互いの位置関係には強い相関があることが多い.そこで本研究では,解剖構造をマークしたラベル画像を用い,ラベル間の空間的隣接関係を表す特徴量を計測し,その統計分布のモデル化を進めている.本年度は特に,時空間の統計的モデル化のための新しいモデルを提案した.このモデルは,条件付モデルの一種であるが,条件による制約を緩和できる点と,その緩和を学習データの誤差モデルに基づいて自動的に行う点が従来とは異なる.このモデルを用いて複数の組織の形と位置のモデル化を行い,実際の画像を用いてその有効性を検証した.さらに,モデルを用いて画像内の解剖構造を予測し,その予測結果に基づいて画像から複数の構造物を同時抽出するアルゴリズムの改良も行い,従来よりも精度良く抽出できることを確認した.また本年度は,手法の設計と評価のための画像データベースの作成や,モデル化のために必要な複数の解剖構造のラベル画像の作成も同時に進めた.その他,本年度は,人体内の層状構造物に注目した研究も進めた.層状の構造は人体の様々な部位に存在し,重要な構造物であることが多いが,従来の認識アルゴリズムは層ごとに独立していることが多く,層間の関係を利用したアルゴリズムはほとんど無かった.そこで,層間の関係を考慮しながら,精度良く認識を行うアルゴリズムを提案し,その有効性を実画像を用いた実験により示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたとおり,当初の目的をおおよそ達成することができた.具体的には,空間的関係(隣接関係)を記述した空間的統計モデルの構築,手法の設計と評価のための画像データベースの作成の両者について当初の目的を達成したので.「おおむね順調に進展している」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに提案したモデルを用いて,人体内の様々な組織の認識の精度を向上させることを目標とする.特に,従来の手法では困難であった,異常部位を含む場合や,形状や濃度が特異な場合の認識に注目して研究を進める予定である.また,その成果を用いて画像診断支援のためのアルゴリズムを考案し,実際の臨床画像を用いて有効性について検証する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際雑誌や国際会議などにおいてこれまでの研究成果を発信する予定である.また,更なる成果の上積みのためには,昨年購入した計算機の性能向上が必要不可欠である.そこで,メモリなどの追加による性能向上を予定している.さらに,謝金を用いて時空間統計モデルの構築とその応用に関する実験を加速させる予定である. なお,次年度使用額が発生した主な理由は,高信頼のモデルのためには更なる医用画像データの収集が必要になり,そのために当初予定していた研究の一部を次年度に延期したためである.なお,この延期による影響は限定的であり,全体の進捗に対する悪影響は無い.
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