2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500212
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
平林 晃 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50272688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 宏 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (30200538)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 画像解析 / 直線エッジ抽出 / ハフ変換 / 標本化 / 最適化 / スプライン / 不確定率有限信号 |
Research Abstract |
初年度である本年度は画像解析の一種である直線エッジ抽出に関して重要な成果を導出した。直線エッジは画像の最も重要な特徴量の一つであり,画像位置合わせ,物体認識,車両誘導など多くの場面に応用されている.通常この処理は,Canny 法などによって検出された画素に対して,ハフ変換を適用する事によって実現される.しかしこの方法には精度と感度のトレードオフや解像度低下に伴う精度劣化などの問題点がある.これらの問題点はより精密な画素値変換(AD変換)モデルの導入によって解決されるが,このアプローチに基づく従来の方法では,直線ステップエッジの表現パラメータである方向角,切片,振幅の推定に解析解を用いており,雑音耐性の更なる向上が求められていた.本年度の成果である提案手法では,微分画像の指数モーメントと呼ばれる量の理論値と観測値の差により評価関数を定義し,その値を最小化するパラメータを探索することによって直線エッジを推定する.本問題は非凸の最適化であり,解の探索は一般に容易ではないが,本手法では初期値に解析解を利用することにより高速探索を実現した.計算機シミュレーションにより,提案手法が解析解を用いた従来法より雑音に対して頑健であり,不偏推定量に対する理論限界値であるクラメール・ラオの下界により近い値を実現できることを示した.また,実画像に対してハフ変換より正確にエッジを抽出し,超解像処理に適用した結果,従来手法を用いた場合よりも高品質の画像を生成できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では本年度は,円や楕円形状の2値画像を検出するアルゴリズムの開発に取り組む予定であったが,本件に関して具体的な成果には至っていない.その理由は,上記「研究実績の概要」に示したように,本年度は直線エッジ抽出に関して顕著な進展が見られ,その開発に時間を要したからである.本成果の最も重要な点は,解析解の利用から最適化アプローチへの根本方針の転換である.このことは将来の曲線エッジ抽出にも確実に活かされることになる.以上より,当初予定の研究成果を得られていないことから「やや遅れている。」と判断してはいるものの,今後の研究の進展を展望するとき,現時点における成果は「順調に進展している」と考えても妥当な状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は曲線エッジの抽出に取り組む.まずは円と楕円形状の2値画像の抽出アルゴリズムを開発する.この研究は2段階に分けて考えることができる.第1段階は形状再構成理論の構築である.すなわち,円や楕円を記述するパラメータに関する評価基準を定義することにより,その最適化問題として形状再構成問題を定義する.このとき,標本値の線形和によって画像のモーメントや指数モーメントを求められることを利用する.第2段階は第1段階で定義した最適化問題の効率的解法の開発である.ここでの最適化問題は,直線エッジ抽出から類推して非凸の問題になることが予想できる.いずれの段階においても高度な専門知識が必要になるので,それぞれ海外研究者と協力しながら研究を進める.具体的には第1段階においてはインペリアル大学 Dragotti 准教授と,第2段階はフランス国立科学研究センターの Condat 博士と協力する予定である.こうして得られた成果をもとに,最終年度である平成25年度には3次元形状認識問題を最適化問題として定式化し,高効率アルゴリズムを提案する.それらをCTやMRIの医療画像再構成技術に応用する基礎を確立する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は理論解析が中心となるが,その内容を検証するシミュレーションを実施する為にパーソナルコンピューターや数値計算ソフトなどの備品を購入する.このために40万円を支出予定である.また,国内外における研究成果発表のために60万円を支出予定である.具体的には,9月に合衆国オーランドで開催される画像処理に関する国際会議(ICIP 2012)において直線エッジ抽出に関する成果を発表し,12月に合衆国ロスアンジェルスで開催されるアジア・太平洋信号情報処理学会年次大会(APSIPA ASC 2012)において信号の標本化と再構成の基礎理論に関する成果を発表する.その他,国内の学会にも2件の参加を予定している.学会参加に伴い会議参加登録料が必要となり,更に論文出版費用などと併せて20万円を支出予定である.
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Research Products
(12 results)