2012 Fiscal Year Research-status Report
肺音を用いた統計的手法による肺疾患者の頑健で高精度な検出法の研究
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23500217
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松永 昭一 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90380815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 清 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80325670)
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Keywords | 肺音 |
Research Abstract |
頑健な肺疾患者の検出を目指して肺音データベースの拡充を行った.従来の右側からの聴診音だけではなく,心臓音が含まれる左側からの聴診音に関しても,副雑音と心音の区間のタグの付与を行った。 複数の聴診データを用いた疾患者検出アルゴリズムの検討を行ってきた。今年度は4箇所の聴診箇所から得た聴診音を用いて疾患者検出の実験を行った。この結果,聴診箇所を増すことで疾患者の検出性能が向上すること,及び各聴診箇所の尤度を組み合わせて疾患者の検出をすることを示せた。 次に,時間推移を考慮した呼吸気同士の音響パラメータの距離を定量化し尤度差に加えることで,副雑音が発生する呼吸気の類似性を考慮した異常肺音の検出を行う手法を提案した.肺疾患者の識別実験の結果,従来法では平均識別率が87%程度だったものを90%程度まで向上させた. また,心音が多く聴取される肺音の聴取箇所でも,心音(I音,II音)の音響的特徴を考慮した心音モデルを異常肺音検出に用いることで,異常肺音の検出率の向上を試みた.心音を含んだ呼吸音の音響的特徴を表現するために,(1)心音のI音の音響的特徴を考慮させたモデルとII音の音響的特徴を学習させたモデル(I音&II音モデル)を従来の音響モデルに加えた手法,(2)I音のみの音響的特徴を学習させた音響モデル(I音モデル)を従来の音響モデルに加えた手法,の2つの手法を提案した.異常肺音の検出実験の結果,心音を含まない音響モデルを用いた従来手法の平均識別率が86.2%程度だったものを,(1)の手法においては,平均識別率を89.0%程度まで向上させ,(2)の手法においては,88.5%程度まで向上させることができた.次に,異常肺音の検出実験の結果を用いて,健常者と疾患者の識別実験を行った.その結果,従来の識別率が88%程度だったものを,両手法ともに91%程度まで向上させることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺疾患者の検出アルゴリズム開発のための基礎検討に関しては,データベースの拡充とともに,複数の聴診データを用いた疾患者を頑健に識別するための統計的手法が開発でき,その結果,聴診箇所を増やすことで疾患者の検出精度が向上したためである。また,心音の含まれる聴診箇所に関しても疾患者検出手法に関しても,検討を開始できた。 肺疾患者検出のための識別アルゴリズムの開発に関しては,高精度な疾患音の検出法に関して,時間推移を考慮した呼吸気同士の音響パラメータの距離を定量化し尤度差に加えることで,副雑音が発生する呼吸気の類似性を考慮した異常肺音の検出が可能になったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,高速で高精度な疾患者の検出法の開発を行うとともに,これまで(23,24年度合)の研究成果を組み合わせた効果を検証する。具体的には継続時間の違いにより副雑音と雑音の識別精度を向上させる手法,心音の存在を考慮した副雑音の検出手法,副雑音が発生する呼吸気の類似性を考慮した異常肺音の検出を組み合わせる。 また,これらを効率よく高速に動作させるためFPGA上での混合ガウス分布を用いた隠れマルコフモデル(HMM)の計算方法についても検討をしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
従来の計画通りに使用する。 なお,国際会議での旅費は23年度及び24年度の研究成果をカナダで開かれるICASSPとICAで発表するために使用する。 次年度の使用額(差引額)は研究遂行のために必要な物品の購入に使用する。
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Research Products
(4 results)