2011 Fiscal Year Research-status Report
埋込容量の増大が可能な多層型音楽電子透かしの音質改善手法
Project/Area Number |
23500224
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
荻原 昭夫 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60244654)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 音楽電子透かし / 著作権・コンテンツ保護 |
Research Abstract |
我々が提案している多層型音楽電子透かし手法は、透かし情報の埋め込み処理を多層化(多重化)することにより埋め込み容量の増大が実現可能である。平成23年度は"多層型音楽電子透かし手法の実装"および"音質劣化の測定"に関する研究を実施した。 多層型音楽電子透かし手法の実装に関する研究ついては、当初の研究計画通りに当該手法をコンピュータ上に実装し、目標値である「3分間の音楽データに対して22000バイト(従来技術の約10倍)の埋め込み容量」を達成可能であることを確認した。本手法はmp3圧縮などの種々の信号処理に対する耐性を有しており、実社会で流通しているmp3をはじめとする各種データフォーマットにおいても相当量の透かし情報を埋め込み可能である。デジタル音楽コンテンツに埋め込まれた透かし情報の容量増大により、従来法では容量的に制限されていた種々の応用例への活用が可能となることから、本研究により得られた成果の意義は大きい。 一方、音質劣化の測定に関する研究については、平成24年度からの研究代表者の所属研究機関変更にともない、音質評価に関する実験環境の継続的な確保が困難となってしまった。音質評価実験の正当性を確保するためには"平成23年度に実施を予定していた音質評価実験(音質劣化の測定)"と"平成24,25年度に実施予定の音質評価実験(音質改善手法を適用後の音質改善の測定)"の実験環境を同一に揃える必要がある。そこで、平成23年度については少数楽曲・少数聴取者による音質評価実験を実施して音質劣化の基本的傾向を得る段階に止め、多数楽曲・多数聴取者による詳細な音質評価実験の実施については新しい所属研究機関内で実験環境を整備した上で平成24年の研究実施計画へ繰り越すこととした。 なお、上述の研究成果については、国際会議プロシーディング4件および国内学会発表7件を通じて広く一般に公開した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度の研究目的は、多層型音楽電子透かし手法を種々の楽曲データに適用して容量の増加を図ることである。実施すべき具体的な研究項目は「3分間の音楽データに対して22000バイト(従来技術の約10倍)の埋め込み容量を実現すること」と「楽曲の音質評価を行い、生じる音質劣化の傾向および要因を分析すること」の2項目である。前者の項目については平成23年度に実施済みであり、当初の計画通りに進展している。一方、平成24年度から研究代表者の所属研究機関が変更となるために、音質評価に関する実験環境の継続的な確保が困難であるという理由により、後者の項目については音質評価実験の実施を部分的に一時保留しているので当初の計画に対して若干の遅れが生じている。なお、保留分の音質評価実験については平成24年度の研究実施計画へ繰り越し、平成24年度中に実施する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、新たな整合窓関数を導入することで音質改善を図る。平成25年度は、誤り訂正符号の訂正能力を意図的に利用する手法を適用して音質改善を図る。いずれの年度においても音質改善の効果を音質評価実験により検証する。 なお、平成24年度からの研究代表者の所属研究機関変更にともない、音質評価に関する実験環境の継続的な確保が困難となった。音質評価実験の正当性を確保するためには、平成23年度と平成24,25年度の実験環境を同一に揃える必要がある。そのため、平成23年度に予定していた多数楽曲・多数聴取者による詳細な音質評価実験については、新しい所属研究機関内で実験環境を整備した上で平成24年の研究実施計画へ繰り越すこととした。同時に、実験環境の整備に必要な費用についても、次年度に使用する予定の研究費として繰り越しを行った。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず、平成23年度から繰り越した研究費(次年度使用額)を使用して実験環境を整備した後、平成23年度に実施予定であった多数楽曲・多数聴取者による詳細な音質評価実験により音質劣化の測定に関する研究を実施する。続いて、平成24年度に請求する研究費(平成24年度請求額)を使用して、当初の研究実施計画の平成24年度分として予定していた整合窓関数の最適化および音質改善の測定に関する研究を実施する。 なお、平成23年度に予定していた実験の一部を平成24年度へ繰り越したことに呼応して次年度使用額が発生しているが、各研究実施項目の内容および時系列については変更は無い。平成23年度から繰り越した音質劣化の測定を含み、平成24年度に予定しているすべての研究実施項目について、平成24年度末までに実施する。
|
Research Products
(11 results)