2012 Fiscal Year Research-status Report
埋込容量の増大が可能な多層型音楽電子透かしの音質改善手法
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23500224
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
荻原 昭夫 近畿大学, 工学部, 教授 (60244654)
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Keywords | 音楽電子透かし / 著作権・コンテンツ保護 |
Research Abstract |
平成24年度からの研究代表者の所属研究機関変更にともない、音質評価に関する実験環境の継続的な使用が困難となっていたため、平成23年度に予定していた“音質劣化の測定”に関する研究の一部については保留していた。平成24年度は、新たな所属研究機関において音質評価実験を実施可能な環境の構築を行い、保留していたこれらの音質劣化の測定を実施した。得られた測定データを分析・検討した結果、透かし情報の埋め込み処理を施すことにより区域の境界点において音楽信号が不連続となる現象が生じ、音質劣化に影響を与えていることが確認できた。 続いて、当初の研究実施計画において平成24年度に予定していた“整合窓関数の最適化”および“音質改善の測定”に関する研究を実施した。整合窓関数の最適化に関する研究については、隣接する区域の相対的な大小関係を考慮することで整合窓関数を改良し、音楽信号の不連続を解消することにより音質の改善を図った。さらに、本手法の効果を評価するために音質改善の測定を実施し、整合窓関数の最適化を導入することで埋め込み処理後の楽曲の音質が向上することを確認した。 我々が提案している多層型音楽電子透かし手法は、透かし情報の埋め込み処理を多層化(多重化)することにより埋め込み容量の増大が実現可能である。しかしながら、多重化に応じて埋め込み処理による音質劣化が知覚されやすくなるという課題もある。本年度に実施した整合窓関数の最適化により、埋め込み処理に起因する音質劣化が軽減可能であることが確認でき、埋め込み容量と音質との両立が可能となることから、本研究により得られた成果の意義は大きい。 なお、上述の研究成果については、国際会議プロシーディング6件および国内学会発表3件を通じて広く一般に公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究目的は、新たな整合窓関数を導入することで音質改善を図ることである。 隣接する区域の相対的な大小関係を考慮した整合窓関数を新たに提案し、区域境界点における音楽信号の不連続を解消する手法の実装を平成24年度に実施済みである。また、音質評価実験を実施し、本手法による音質改善が認められることを確認済みであることから、現在までの達成度についてはおおむね順調に進展していると判断した。 ただし、音質改善の程度としては、当初に設定したかなり高い目標値(5段階評価であるABC/HR比較法で、平均値で1段階以上の評価上昇)にまでは至っていないため、今後も改良を続ける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に従って、平成25年度は誤り訂正符号の訂正能力を意図的に利用する手法を適用して音質改善を図り、その音質改善の効果を音質評価実験により検証する。並行して、平成23年度~平成25年度の研究成果を取りまとめ、国内外における学会発表および学術論文を通じて成果の発表を適宜行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)