2012 Fiscal Year Research-status Report
ボケと雑音が複合的に重畳した画像の復元アルゴリズムとその実用化に関する研究
Project/Area Number |
23500227
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻 裕之 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (70350676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 誠聡 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (40454178)
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Keywords | 画像処理 / 画像復元 / 非線形フィルタ / 混合雑音 / TVフィルタ / FPGA実装 |
Research Abstract |
本研究の目的は.複合的な要因で劣化した画像の実用的な復元アルゴリズムを構築することである. H24年度は,前年度から提案してきた,ガウス性雑音とインパルス雑音による混合雑音を効果的に除去可能なTVフィルタベースの画像復元アルゴリズムの性能を向上するため,その要素技術である「最適λマップの推定法」,「インパルス雑音の検出手法」の2つを改善し,ほぼ完成形を得ることができた.前者のλマップ推定法では,各画素のλ値を算出する際に必要となるσ-λ曲面の構成において,復元画像の客観評価値(SSIM)を最大化するという意味において最適なσ-λ曲面を導入することで,復元後の画質の大幅な改善を得た.また,後者のインパルス検知手法では,各画素におけるガウス曲率の値に基づくインパルス検知手法を構築し,特にランダム値のインパルス雑音の検知において優れた性能を発揮することを確認した.なお,これらの成果は,2件の国際ワークショップ(SISA2012, IWAIT2013,いずれも査読付き)等において発表済みである. 一方,本研究で提案するアルゴリズムの基礎となるTVフィルタは,エネルギー最小化に基づく非線形フィルタであることから,反復処理によってエネルギーを逐次的に下げながら,最適な解に近づけてゆくアプローチを取るのが一般的である.提案法の実用化においては,1回の反復に要する処理時間を極力削減する必要があることから,ハードウェアによる実装を行うことが効果的と考えられる.このため,H24年度においては,上述した画質の改善に関わるアルゴリズムの検討に加え,反復処理を伴うTVフィルタをハードウェア化するための設計に関する基礎検討を行うとともに,2回分の反復処理をFPGA上に実装して動作検証を行った.なお,本成果は電子情報通信学会の研究会及び総合大会において発表済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
混合雑音除去のアルゴリズムについては,これを実用化する際に必要となる「最適λマップの推定法」,「インパルス雑音の検出手法」を含め,ほぼすべての検討が完了しており,あとは総合的な評価を残すのみである.しかしながら,これらと同時に進める予定であったボケを含んだ場合の復元アルゴリズムの検討については平成24年度中に着手することができなかった.その理由としては,前年度に引き続き,インパルス雑音検知手法の検討が難航した結果,研究補助者1名がこの項目の検討を継続して続けざるを得ない状況となったこと,また事情によりボケ修復を行う研究補助者1名を確保できなくなったことによる.平成25年度において,少なくともボケの修復を含んだ画像復元の具体的な枠組みについて提案を行う必要がある. 一方,反復処理を伴うTVフィルタのハードウェア化を実現するためのアーキテクチャの検討については,おおむね計画通りに進行している.次年度は,さらに大規模な設計環境を用いることにより,任意回数の反復を伴うアルゴリズム全体をハードウェアに展開することを目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の成果により混合雑音除去のアルゴリズムはほぼ確定しているため,今後は最終的な評価試験を通して提案法の性能評価を行う予定である.なお,提案法においてはインパルス検知の精度改善がそのまま画質の向上につながるため,インパルス検知手法の性能改善については引き続き検討を継続する.また,平成25年度は,上述の混合雑音雑音に加えて,レンズや手ブレに起因するボケが複合的に重畳した劣化画像を復元する基本アルゴリズムの提案を行う予定である.計画が遅れているため,完成形には至らない可能性があるが,少なくとも基本的なアイディアを提示するとともに,PC上のシミュレーションを通してその有効性の検証を行う考えである. 一方,反復処理を伴うTVフィルタのハードウェア化の検討については,当該年度の成果によって,TVフィルタの反復処理部をハードウェア化するための基本的な検討が完了している.今後は,メモリ管理を含めたハードウェア実装を行うことにより,複数回の反復を伴うアルゴリズム全体がハードウェア化できる見込みである.これを実現するため,平成25年度はさらに大規模な設計環境を準備し,アルゴリズム全体のハードウェア化を試みるとともに,その動作検証を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)