2011 Fiscal Year Research-status Report
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23500241
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
栗山 繁 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20264939)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | デジタル照明制御 / イメージセンサ / 間接光通信 / 情報配信システム / LED照明ユニット |
Research Abstract |
平成23年度は,1. 情報伝送のための間接光の特性解明と制御機構の開発,2. 再構成可能なLED照明ユニットの開発,3. 低消費電力指向の調光用制御プロトコルの開発,および 4. 撮影画像系列からの照明光の変化パターンの推定を計画していた.1. に関しては,人間の視覚認知の影響を最も良く説明できる色空間を調査した結果に基づくRGB色空間との変換機構を開発した.また,2. で開発したLED照明を用いて調光による人の誘導実験を実施し,輝度と色温度の変化に対する人間の知覚特性を実験的に検証した.この実験結果は,LED照明を演出的な側面から捉える際の指針として用いられる.2. に関しては,市販のpicマイクロコントローラとLEDドライバを用いた,色温度の制御が可能な有線LAN通信機能が搭載された照明ユニットを10台開発して 1. や 4. の実験に用いた.この開発品により,市販製品では不可能であった時間的解像度の高い調光が可能となるので,情報配信システムを開発するための重要な基盤設備となる.3. に関しては,2. で開発した照明ユニットを対象にインターネット用プロトコルを介した調光制御命令群を,JSONと呼ばれる軽量なデータ交換フォーマットに基づき設計した.また,撮影画像上で直接的に指定した輝度変化の値から,省エネ性能の優れた調光制御を自動計算する機構を開発した.4. に関しては,市販スマートフォンに搭載されたデジタルカメラを用いて,色相の時間的な変化に対する検出能力を実験的に調査した.実験結果により,LED光源に対するイメージセンサの動的な挙動が解明され,その特性は情報受信機構の設計の際に活用される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「情報伝送のための間接光の特性解明と制御機構の開発」に関しては,LEDのデジタル調光に特有の問題点を洗い出す事ができ,人間の視覚認知特性を考慮した調光方法に関しても,文献調査等により十分な知見と経験が得られた.また,LEDの色相変化に用いた制御命令と実際に照度計で観測される色相に間に生じる大きな誤差を実験的に確認し,LED調光制御に対する効率的な校正機構の開発の足がかりを得る事ができた.「再構成可能なLED照明ユニットの開発」に関しては,実際に10台の試作機を完成させ,正常動作を確認すると共に,実際に各種の実験に利用できた.「低消費電力指向の調光用制御プロトコルの開発」に関しては,その定量的な評価は不十分であるものの,設計した制御命令群を実際に実装して動作実験により有効性を確認できた.「撮影画像系列からの照明光の変化パターンの推定」に関しては,イメージセンサの色感度の遅延や自動色補正の影響等による特有の問題点を実験結果により洗い出す事ができ,その影響を考慮した調光制御とセンサ信号のフィルタリング等を次年度の課題として目標設定できた.具体的な成果としては,開発したLED照明ユニットを用いた人物誘導の実験と,画像上で指定した輝度変化から複数のLED照明ユニットを省エネ最適化制御する技術の開発成果が,学会の研究会で口頭発表される予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
情報送信側の照明制御システムには,LED光源の個体差に由来する色相の揺らぎが存在する.また,受信側のイメージセンサの時間的な遅延や自動補正機能等の特性が,受信信号の精確な検知の妨げとなっている.今後は,これらの機器固有の障害要因を学習等を取り入れたアルゴリズムを用いて軽減していく.特に,本件研究課題では既存の可視光通信とは異なる色相変化を用いた低速(30フレーム毎秒以下)での光通信を導入するので,多色発光が可能な多数のLED光源を対象とした色変調信号の送受信方式を検討する.具体的には,撮影対象物の位置補正とトーン(色合い)の補正を同時に高速処理できるアルゴリズムを多数個の光源の色変調の検知機構に活用する実験を試みる予定である.一方,演出連動型の情報配信ツールとしての機能を実現するために,送信情報から生成される調光パターンと演出として生成されるパターンを違和感無く重畳する方法を考案する.また,多重・多層化された照明光変調パターンを考案し,演出としての効果を簡便に操作できるユーザ・インタフェース等も開発する.さらには,情報配信システムとしてのLED照明ユニットを自律分散的に制御する機構の開発にも着手する.昨年度に開発した有線LANを介した通信機能を有する照明ユニットでは,Webサーバを動作させた1台のコンピュータを中央制御システムとして用いる必要があった.しかし,実際の利用現場での機器構成としては,制御用単独のコンピュータを必要とせずに照明ユニットだけでシステムを構築できる事が望ましい.ゆえに,今後は各照明ユニットに無線通信機能を搭載し,双方向かつ対等な情報交換により自律分散的に情報配信の調光制御ができるシステムを構築する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
無線通信機能を搭載したLED照明ユニットの開発費と,それらを天井に備え付けるためのフレーム機構の開発と実験部屋への取り付け工事費用を研究費から支出する.また,市販のメージセンサ搭載型スマートフォンを用いて情報を受信するシステムを開発する費用を研究費で賄う.また,研究で得られた成果を学会発表するための旅費等,さらには購入機器の調達や研究発表に関する諸手続き,およびプロジェクト推進のマネージメントを担当する研究補佐員の人件費を研究費から支出する.
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Research Products
(5 results)