2012 Fiscal Year Research-status Report
視覚系の生理的特性が及ぼす色覚の個人差の定量的評価に関する研究
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23500253
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山内 泰樹 山形大学, 理工学研究科, 教授 (60550994)
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Keywords | 視覚情報処理 / 等色関数 / 生理的要因 / 個人差 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度に引き続き,①黄斑色素濃度に関する測定,②等色関数の測定,に関する活動を継続するとともに,③L/M錐体比の測定,に関する実験装置の立ち上げ,及び測定を実施した. ①の黄斑色素濃度に関する測定では,被験者数が100を超えたので,日本人の黄斑色素濃度のデータベースとして学術論文として発表すべく準備を行っているところである. ②の等色関数の測定では,簡易的な測定を行うことを目的とした手法の検討を行い,その手法に関して,国際学会並びに国内学会において発表を行った.また,さらにコンパクトな装置を構築することを目的とし,市販されているプログラマブル光源を使用し,単色光を呈示して等色実験を行う手法を検討した.その結果,昨年度まで開発していた装置とは実験刺激の呈示方法を変更することが有効であることがわかり,その予備実験結果を国内学会において発表した. ③のL/M/錐体比の測定に関しては,実験装置の構築を行い,日本人被験者に対するL/M錐体比の測定実験を行った.遺伝子解析は,共同研究先であるWashington大学のNeitz研究室での解析を依頼し,遺伝子解析の手法(情報の受け渡し方法)に関しても確立することができた.14名の予備実験の結果,日本人のL/M錐体比が有意に欧米人のそれよりも低いことを示すことができ,その内容を国際学会にて発表する申し込みを行った(5月に発表予定). 異種メディア間の等色を行う際の周辺条件に関する実験結果を投稿論文として発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,二年目である本年は,黄斑色素濃度に関するデータ収集と並行して,視覚特性の測定,LM錐体のピーク感度や錐体比を測定する計画であった.実施項目は,上記計画の通りで,順調に進展していると言える.国内外の学会での発表も,投稿論文を含め,順調に成果としてなされている.異種メディア色刺激呈示装置の構築に関しては,多少遅れ気味の面はあるが,異種メディアでの周辺刺激条件について過去に有するデータで再検討し,投稿論文として公表することができたことは計画以上であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2013年度は,これまでに構築した装置を用いてデータ収集を行うだけでなく,その成果を公表,投稿論文としてまとめることを,一つの柱とする. 実験は,等色関数の測定を黄斑色素濃度と錐体比の既知の被験者に対して実施し,両者の関係を明確にし,関連性があればモデル化を行うことを計画している.実験の精度と測定誤差が大きな影響を及ぼすために,十分な検討を実施してから実験を実施する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験装置としては,異種メディア色刺激呈示装置の製作に対して研究費を使用する以外,実験を遂行するにあたって必要な消耗品等の購入に研究費を使用する. 研究の成果を国内外の学会で発表する予定であり,その旅費として使用予定である.現時点では,5月の国際学会,7月,1月に行われる学会を計画している. 実験を実施するにあたり,被験者及び実験者が必要となるので,それぞれに対して必要に応じて謝金を支払う必要があるので,研究費の一部はこの目的で使用する予定である.
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Research Products
(2 results)