2011 Fiscal Year Research-status Report
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23500256
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
宮田 一乗 北陸先端科学技術大学院大学, ライフスタイルデザイン研究センター, 教授 (00308355)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | オノマトペ / 記憶想起 / フォント / 対話型遺伝的アルゴリズム / 類似検索 |
Research Abstract |
本研究は、画像への感性情報の埋め込みを目指し、記憶想起への寄与度を実証実験により調査することを目的としている。本研究においてオノマトペを利用した感性情報を提案している。オノマトペは、その意味を直感的に伝達でき、少ない文字情報で記録できる特徴がある。特に、画像へのオノマトペの付加を想定する場合、視覚的な効果も大きく影響すると考えられる。そこで、当該年度では、情報伝達の促進を目的に、オノマトペに適したフォントに関する研究を行った。当初の計画では、新しいフォント生成手法の提案を予定していたが、現状で数多くのフォントリソースが存在することから、それらを簡便に選択できる手法を模索する研究方策に変更した。変更後は、フォント選択手法の研究方策に従い、対話型遺伝的アルゴリズムと類似検索を用いた手法を提案した。提案手法は、文字の種類に依存せず、10回程度の操作で所望のフォントを選択できる。提案手法によりオノマトペに適したフォントを選択できることから、視覚的な効果を与えることが期待できる。本成果は、研究の次段階である記憶想起実験に必要なシステムとして導入する予定である。また、フォントの選択手法に関する研究と並行して、記憶想起実験の計画を再考した。特に、使用するデバイスの調査を行った。当初の実験計画と比較すると、記憶想起実験の実施時期が遅れているものの,記憶想起実験には研究計画の再考も含んでいたため、おおむね順調な進捗状況であると言える。当該年度の研究においては、簡便なフォント選択手法を実現できたことで、本研究における一つの課題を解決できたと言える。現在までの研究成果は、既に対外発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究方策から一部変更したものの、記憶想起実験に必要なシステム構築のために、簡便にフォントを選択できる手法を提案した。提案手法は、オノマトペに適切なフォントを選択でき、視覚的な効果によりオノマトペの情報伝達を促すことが期待される。本研究の目的は、オノマトペを用いた感性情報の埋め込みの可能性を探り、その応用として記憶想起への影響を調査することである。効果的なオノマトペの提示を実現できたことにより、記憶想起への効果が期待できる。当初の実験計画に比べて、実証実験の実施時期が遅れているが、フォント選択の手法に関する研究と並行して研究計画を再考した。本実験は、多くの被験者を必要とすることから、綿密な研究計画を必要とする。使用するデバイスや、記憶想起の実験方法を再考したことにより、被験者への負担軽減と実験期間の短縮が期待できる。上記の点を考慮すると、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、オノマトペに特化した情報提示が望ましいと考える。そこで、オノマトペに適したフォントを特徴量分析することで、オノマトペに適したフォントを限定する。フォントを限定することで、より素早く効率的にフォントを選択できることが期待される。複数のオノマトペを対象にフォントの特徴量の観点から分析を行ったところ、オノマトペの持つ意味と音象の要素がフォントに影響することが確かめられた。さらに、対象とするオノマトペを増やして、オノマトペとフォントの関係について分析することでフォント選択の効率化と高速化が期待できる。今後は、提案手法を記憶想起実験で用いるシステムに導入して、記憶想起実験の計画に従い、複数の被験者グループで異なる種類のオノマトペを利用した写真撮影を行い、それらの画像を用いた自由再生テストを通して、記憶想起への有効性を検証する予定である。また、海外の大学にて異文化におけるオノマトペ活用の可能性を検討する機会を設ける.具体的な渡航先は、カナダ,オーストラリアおよびフランスを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度では、記憶想起の実験計画を再考していたため、記憶想起実験で使用するデバイスを予定していた個数購入していない。次年度は、記憶想起実験に使用する各種デバイスを購入する予定である。すなわち、当初の計画通りにカメラ付きのモバイル情報端末、行動記録用のウェアラブルカメラ、長時間利用のための予備バッテリーを必要数購入し、記憶想起の実証実験を行う。また、海外の大学に滞在し、異文化におけるオノマトペ活用の可能性を検討する実証実験を予定しており、その渡航費を研究費から支出する。さらに、国内外にて研究成果を発表するための出張費および学会参加費、論文誌印刷代も計上する。
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